子どもにとって、家は安全快適な場所になっているか?/うつぬけ医師の子育て論

大切なお子さんが「元気がない」「いつも不安そう」「何を考えているかわからない」...親の目にそう映っているならば、必ず原因があります。精神科医でありながら7年間うつを患い、そして克服した"うつぬけ医師"宮島賢也さんによる、子供の「心の不調」を改善するためのシンプルな考え方をお伝えします。子どもをストレスに負けない人間に育てるための親の習慣、身に付けませんか?

※この記事は『心が折れない子を育てる親の習慣』(宮島賢也/KADOKAWA)からの抜粋です。

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今、心の不調を抱える子どもが増えている

子どもの不登校、引きこもりが年々増加しています。

文部科学省の調査(2017年)によると、不登校の子どもは小学生で3万5032人(1000人あたり5.4人)、中学生が10万8999人(同32.5人)でした。また、2017年度に自ら命を絶った児童生徒は250人で、過去30 年で最多です。

それと同時に、子どもの「心の不調」も増えています。
子どもに精神疾患(しっかん)があるという事実はあまり知られていないかもしれませんが、うつ病、不安障害などは小学生から見られ、10代後半になるとさらに増加します。

僕のクリニックにも、小学生のお子さんを連れた親御さんが訪れます。
また、大人の患者さんで、「初めて精神科を受診したのはいつですか?」と聞くと、「小学校のとき」とこたえる方もいます。

子どもが精神的に不安定な状態、あるいはそれによって体調が悪い状態が続いていたら、何らかの「原因」があると考えるのは当然のことでしょう。ただ僕は、お子さんを一律に「病気」と決めつけてしまうことには反対です。

お子さんのことを心配して病院に連れていけば、おそらく今の医療では何らかの「病名」がついてしまいます。

そして自動的に薬が処方され、子どもの頃から薬を飲む生活が始まり、大人になっても薬が手放せなくなってしまうかもしれないのです。

 

子どもに元気がないとき、親はまずどうすればいい?

「今、不登校や引きこもり、うつ症状など心の不調を訴えるお子さんが増えている」と書きましたが、それは事実でもあり、嘘(うそ)でもあると言えます。どういうことか、これから説明しましょう。

たしかに今、〝心が折れてしまう〞子どもは増えているのですが、その背景には、そもそもの根本原因となる「親子関係」が関わっています。

このように書くと「親の育て方が悪い」と、自分を責められているように感じる方もいるかもしれませんが、そうではありません。

僕自身、親子関係で悩んだ一人です。いい成績と学歴、地位の高い職業に価値を見出していた母の「条件つきの愛」で育てられた僕は、結局、母が望んだとおりの職業に就いたともいえます。

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でも、医師になってからも自分に自信が持てず、自己肯定感の低い人間になってしまいました。
これは、うつの根本原因からくるものでした。
この本を手にとってくださった方の多くは、お子さんのことで悩んだり、不安を抱えている親御さんだと思います。まずは、心の不調を抱えている、あるいは最近いつもと様子が違うお子さんへの「接し方」について、わかりやすくお伝えしましょう。

 

家が「安心で快適な場所」になっているか?

学校から帰ってきてふと子どもの顔を見ると、なぜか元気がない。

親御さんなら心配になりますよね。
こんなとき、いったいどんな声がけをすればいいのでしょうか。
「どうしたの?」と声をかけるのはいいのですが、たたみかけるように「何かあった?」などと問い詰めるのはやめましょう。
そこで少しでも何か話をしてくれたら、まずは聞いてみること。
たとえ何も話してくれなくても、それもありなのです。

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中学生になると、まったく返事をしてくれないこともあるでしょう。
そこで「何で黙っているの? 何か言いなさい」などとは決して言わないでください。
学校で何かあったのかもしれないし、お子さんの心の中で何か思うことがあるかもしれない。

いずれにしても、外で何か「居心地が悪いこと」があったのです。
そうであるにもかかわらず、家でも親に問い詰められたら、その家自体、居心地が悪くなってしまいます。

少なくとも、家だけは安心で安全で、子どもにとって居心地のいい快適な場所であることが大切なのです。

 

〝学校はオマケ〞と思うスタンス

「家が快適な場所になってしまうと、そのまま学校に行かなくなったり、引きこもりになったりしないでしょうか?」
親御さんからこんなふうに聞かれることもあります。
でも、家すら安心な場所でなくなってしまったら、子どもは完全に居場所を失ってしまいます。
それがひいては、自殺につながることさえあるのです。

もしもお子さんから「いじめられた」などと何らかの返事が得られた場合も、まずは子どもが〝どこにいたいのか〞を大切にしましょう。
僕がここでぜひ親御さんに言いたいのは、「学校に行っても行かなくてもいい」というスタンスをとれるかどうかということ。
もっと言えば、〝学校はオマケ〞と思えるかどうか、です。

これを言うと驚かれる親御さんも多いのですが、「学校は絶対に行かなくてはいけない」では、お子さんも親御さんも追い詰められてしまいます。でも、それとは逆のスタンスであれば、お子さんへの声がけの仕方や問いかけが、だいぶ変わってくるのではないでしょうか。

学校は子どもが行きたければ行ってもらい、家にいたければ家にいてもらう。そして、学校でないところに興味があるなら、そのサポートをするのもありなのです。

 

次の記事「子どもが「学校に行きたくない」と言ったら親はどうするか/うつぬけ医師の子育て論(2)」はこちら。

 

 

 

宮島 賢也

YSこころのクリニック 院長。防衛医科大学校を卒業後、循環器内科研修中に1カ月の休職。家庭医に転じるも意欲が出ず、うつ病に。7年間にわたり投薬治療を受けるも改善せず、医学書以外の本を読み、試行錯誤するなかで、考え方や食生活を変えて人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案。現在はうつ病のみならず、発達障害や統合失調症など、多様な精神疾患を寛解させるための支援を行うかたわら、執筆や講演などの分野でも積極的に活動している

この記事は書籍『うつぬけ精神科医が教える 心が折れない子を育てる親の習慣』からの抜粋です
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