年収が約200万円ダウンする「年金生活」で、「お金が足りない!」を防ぐには?/お金の教科書

「年金の仕組みがわからない」「貯金が少ない」「住宅ローンが老後も残る...」などなど、だれもが自分の老後の経済的不安を抱えています。年金の受け取り方から老後の家計管理、1000万円以上も得する節約術など、「老後不安」を解消するために欠かせない、ごく簡単な方法をまとめました。お金が足りないと不安を抱いているなら、今から実行してみませんか?

※この記事は『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』(田中佑輝/アスコム)からの抜粋です。

年収が約200万円ダウンする「年金生活」で、「お金が足りない!」を防ぐには?/お金の教科書 1080097_615.jpg前の記事「何歳から?いくらもらえる?気になる年金額は「年金定期便」でチェック!/お金の教科書(2)」はこちら。

 

「年金生活」で年収はだいたい200万円ダウンする?

さて、みなさん、ご自身が将来受け取ることのできる年金の額はおわかりになったでしょうか?具体的な額を知って、おそらく、ほとんどの人は「思ったよりも少ない」と感じられたのではないでしょうか。

たとえば、2018年度の老齢基礎年金の満額支給額は77万9300円、月額にすると6万4941円です。しかもこれは、国民年金保険料を40年間(480か月)、欠かさず払い続けた人が、65歳から受給を開始した際に受け取れる額であり、年金の「繰上げ受給」をした人や、国民年金保険料の未納期間があった人は、受給額が減ってしまいます。

繰上げ受給に伴う減額については、後で詳しく説明しますが、未納期間については、全期間に対する未納期間の割合分だけ差し引かれます。

たとえば、未納期間が一年間(12か月)であれば、
77万9300円×12か月(未納期間)÷480か月=19482円
となり、受け取れる額が一年あたり約2万円少なくなるわけです。

ちなみに、厚生労働省が2017年に発表した「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(がいきよう)」によると、2016年度の、老齢基礎年金受給者の平均年金月額は5万5464円でした(年額にすると66万円程度)。

さらに、老齢基礎年金の支給額は、物価の変動や保険料収入に合わせて見直されます。今後、物価が下がったり、少子化や現役世代の所得の低下によって保険料収入が減ったりすると、老齢基礎年金の支給額も減ってしまう可能性があります。

夫婦ともに国民年金のみに加入していた場合、2018年度の満額で受け取ったとしても、二人分合わせて月額約13万円、年額約156万円ですから、これだけで生活するのは、かなり厳しいと言わざるをえません。

では、厚生年金に加入していた場合はどうでしょう。やはり「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2016年度の老齢厚生年金受給者の平均年金月額(老齢基礎年金分含む)は、14万7927円(年額にすると、14万7927円×12か月=177万5124円)です。

ただ、老齢厚生年金の受給額は、加入歴と、その期間の収入によって左右されるため、当然のことながら、より多く支給される人もいれば、より少ない人もいます。基礎年金と厚生年金を合わせて、月額10万円以下の人がたくさんいる一方で、30万円を超える人はほとんどいないといえるでしょう。

共働きで、夫婦ともに長期にわたって厚生年金に加入していれば、年金収入が夫婦合わせて月額30万円程度、年額350万円程度になる可能性もありますが、妻が専業主婦もしくはパートタイマーだった場合、妻の年金収入は基礎年金のみとなり、夫婦合わせての年金収入は、月額20万~25万円程度、年額250~300万円程度であることが多いでしょう。

実際、厚生労働省は、報道発表資料「2018年度の年金額改定について」の中で、標準的な夫婦二人世帯(夫の現役時代の平均月収が42万8000円で、妻が専業主婦)の、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた額を、月額22万1277円(老齢基礎年金6万4941円×二人分、厚生年金9万1395円×一人分。年額にすると265万5324円)としています。

一方、2017年に国税庁が発表した「平成28年分 民間給与実態統計調査」によると、年齢階層別の平均給与(年ベース)は、50代前半で504万円、50代後半で494万円です。あくまでも平均値での比較になりますが、65歳以降、年金生活に入ると、現役時代に比べて、年収は200万~250万円も下がってしまうのです。

さらに、総務省の家計調査報告によると、2017年の、二人以上の世帯のうち高齢夫婦無職世帯(世帯主が60歳以上の無職世帯)の1か月の平均支出額(消費支出と税金、社会保険料などの合算)は26万5634円。

年金収入だけに頼っていると、足りなくなる可能性が高くなります。
そうならないためには、まず収入を増やす手段をできるだけ早めに講じること、そして支出を見直し、不要な出費を減らすことが必要となってくるのです。


【POINT】 
・夫婦二人世帯がもらえる年金の標準的な額は、月額22万1277円。
・年約200万円の収入ダウンに備え、さまざまな手を打っておこう。

 

次の記事「繰上げ?繰り下げ?どっちがお得!?年金をベストタイミングで受け取るには?/お金の教科書(4)」はこちら。

 

 

田中佑輝(たなか・ゆうき)

東京都目黒区生まれ。「株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ」代表取締役。小学校から10年間をシンガポールで過ごし、大学卒業後は国内の外資系銀行に入行。2011年に「株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ」を設立し、ライフプランに合わせたトータルサポートの提案で高い評価を受ける。企業向けのセミナーやコンサルティングも手がけ、1万人以上の「老後不安」を解消してきた。

616jd28IjFL.jpg

『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』

(田中佑輝/アスコム

「年金は足りる?」「退職金をどうすれば?」誰もが抱える「老後の不安」をカンタンに解消するために、知っておくべきことをすべて1冊にまとめました。老後の家計管理や節約術、お金の増やし方など。1万人の「老後」を救った、最強のマネー術です。

この記事は書籍『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』からの抜粋です

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP