債券やFXは選択肢に入れてもいい?「新NISA」で選ぶべきではない理由を、リスクとリターンから知る

【本作を第1回から読む】50代が「新NISA」で取り組むべき「王道の商品」は? 初心者が知っておきたいたった一つの選択肢

『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』 (中野晴啓/PHP研究所)第2回【全4回】

資産形成は、50歳からでも遅くない? 2024年1月から始まった「新NISA制度」は一見、初心者に優しそうですが、じつは正しい知識がなければ「損をして終わり」になる可能性もあります。そんなリスクを減らすべく、なかのアセットマネジメント社長の中野晴啓氏が執筆したのが『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』。50代にターゲットを絞った入門書で、「新NISA制度」をフル活用するための基礎知識をしっかり学びましょう。

※本記事は中野晴啓著の書籍『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。


債券やFXは選択肢に入れてもいい?「新NISA」で選ぶべきではない理由を、リスクとリターンから知る 02_pixta_102153765_M.jpg

債券はリスクが低いがリターンが少ない

債券は、株式と同じように、企業が資金を調達するために発行する有価証券のひとつです。あるいは、国債のように、国などが財政資金を調達するために発行する債券もあります。

債券の場合、償還まで保有すれば、企業や国などの発行体が破綻しない限り元本が戻ってきますし、定期的に利子を受け取ることもできます。

償還前に市場で売却する場合は、その時々に形成される価格によって取引されるため、購入した時に比べて債券価格が下落し、損失を被るリスクもあるものの、償還まで保有すれば額面金額で元本が戻ってくるので、預貯金並みの元本安全性を持つと思っていただいていいでしょう。

ただ、元本の安全性が高い分だけ、収益性は低くなります。2023年3月に発行された10年国債の表面利率は年0.5%です。年0.002%しかない預金利率に比べればはるかにマシですが、大した運用収益は期待できません。当然、消費者物価指数が前年比で3%も上昇するような世の中で、年0.5%の収益率ではインフレリスクをヘッジすることもできません。

最近は物価上昇によって金利が上昇する兆しがあるせいか、変動金利といって、定期的に適用利率を見直す「個人向け国債(変動10年)」を推す声もありますが、それでも今年3月に募集されたものの表面利率は0.33%です。やはりある程度のペースで資産を増やすためには役不足の感が拭えません。

安全性は確かに高いのですが、50歳から債券で資産を増やすのは難しいといえるでしょう。

 

中野晴啓(なかの はるひろ)
なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 

1987年、明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、 2023年6月に退任。

2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。
全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。
著書に『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(PHPビジネス新書)他多数

※本記事は中野晴啓著の書籍『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。

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