不倫、義家族問題、ワンオペ育児...で「前向き離婚」するヒント
――不倫の証拠って、よくマンガやドラマで描かれますが、LINEなどのやりとりでも証拠になりますか?
森元:もちろんです。ぜひ写真を撮ってください。ホテルや相手の自宅に出入りしている写真などが十分な証拠になるのですが、LINEなどメールのやりとりでも、肉体関係をうかがわせる内容であれば有効です。探偵に依頼すると30~100万円かかると言われますし、みなさんいろいろ頑張っています。プラトニックな感じだと「不貞行為」とは言えませんが、「愛してる」「結婚したい」といったやりとりがあれば、婚姻関係を破綻させる原因だと認定されることが多いです。
――もし裁判で争う場合、証拠になるようなプライベートの書面や映像が世間の目にさらされるのは恥ずかしいものですが...。
森元:建前上は「裁判で公開」と言われますが、実際のところ、日本の裁判ではほとんど非公開で手続きが行われています。書面や映像を第三者にさらされることは基本的にはありません。
――義母による「嫁いびり」で離婚を考える人もいるようです。当人同士じゃないだけに、話がこじれやすいイメージがありますが。
森元:夫の親が嫁を殴る、作った料理をぶちまける、「できの悪い嫁だ」と書いた日記を嫁の見えるところに置いておく...という例もありましたが、ある意味で「証拠をありがとう」という感じですね。夫も親に逆らえないから、結局妻が逃げ出し、夫はブツブツ言いながらも離婚に応じたという例もありました。
――そこまで激しくないけれど、ひっそりと繰り返される嫁いびりに心を痛めている人もいそうです。
森元:そういう時は夫とその問題について話し合い、どちらにしても、その形跡を残しておくことですね。夫にもチャンスをあげる期間を設けた上で、それでも何もしてくれなかったら限界、という流れを作るのが良さそうです。
――専業主婦が、家事育児のワンオペに限界を感じるケースも。それでも慰謝料は請求できますか?
森元:いまだに多いケースですが、残念ながら慰謝料請求は難しいでしょう。ただ、お母さんが育児をしていることがわかれば、親権は取りやすいです。裁判所は母子手帳を必ず見たがりますので、そこにお母さんの筆跡などがあればいいですし、育児日記や、子どもと一緒にいるような写真、料理やお弁当の写真、保育園のノートも証拠になります。
最近はネットで何でも調べられるので、親権争いに備えて夫に証拠を隠されることがありますが、そういう場合は、家庭裁判所の調査官が保育園や学校を訪ねて、送迎や行事に誰が来たのかを確認しますから、証拠を全部捨てられたとしてもセーフかなと。調査官は、夫婦が離婚で激しく争っていて、話し合いでは解決しなさそうな時に出てくるイメージですね。
――熟年離婚も増えているとよく耳にします。
森元:増えていますね。熟年の世代だと、年金額を2人で分割する「年金分割」が重要になってくると思いますが、昔は専業主婦の財産分与が3分の1、4分の1だったのが2分の1になり、いずれにせよ、自動的に半分もらえるようになったので、離婚に踏み切りやすくなっています。80歳くらいになってから、夫がDVっぽくて、近くにいると動悸がするから娘さんのところに逃げ出して離婚請求をします、とか。女性から切り出すケースが比較的多い印象です。