2024年「離婚」の最新事情。DV・モラハラ、親権、離婚後の生活...「前向き離婚」のヒント【弁護士解説】

失敗しないための離婚の手続き

――もし弁護士に相談するなら、相手に離婚を切り出す前なのか、別居をしてから離婚の手続きをする時なのか、どのようなタイミングでお願いするのが理想ですか?

森元:イヤな話になりますが、相手の通帳や財布の中身など、財産分与のための証拠を集めることが、別居後だとやりづらくなります。裁判所や弁護士に頼めばなんとかなるとぼんやり期待する方も多いですが、預金のある銀行名や支店名など、間接的でもいいので何かしらの手がかりがないと調べるのは難しい。親権についてもいまは激動の時期で、以前は「子どもを置いて家を出たら負け」というアドバイスが王道でしたが、最近は、相手に内緒で連れ出すと「連れ去り」といって相手のところに子どもを戻されることも。価値観が180度変わりつつあります。

DVやモラハラがひどい家庭で、明日子どもを連れ出すなんて事前に知らせられるはずもなく、黙って子どもを連れ出していいケースなのか、逆にアウトだから話し合うのか、話し合えないなら同居したまま裁判所の判断をあおぐのか...そのあたりの進め方を間違うと、子どもを失い、お金もない、ということになりかねません。

2024年「離婚」の最新事情。DV・モラハラ、親権、離婚後の生活...「前向き離婚」のヒント【弁護士解説】 『増補改訂版 前向き離婚の教科書 イラストと図解でよくわかる!』
『増補改訂版 前向き離婚の教科書 イラストと図解でよくわかる!』より

話し合いも別居もしていない段階で「別居に向けて、必要な準備はありますか?」という感じで相談してくださる方が増えましたし、私たちとしても、離婚や別居を考えている時点で早めに相談していただくほうが良いかと思います。

――弁護士への相談費用は高いイメージがありますが...。

森元:最初の相談料は、どの法律事務所でも30分5000円が標準的ですし、離婚の相談を無料で24時間受け付ける弁護士もいます。「法テラス」なら、手取り月収額の基準はありますが、パート程度の収入なら利用できることが多く、同じ問題で3回まで無料相談が受けられます。ただ、「法テラス」や市役所の無料相談は弁護士を選べないので、ちゃんと家庭問題に詳しい方に当たるかどうかは保証できないのですが。

※法テラス...「収入と資産が一定額以下」などの条件を満たしている人に対して、法律に関する情報提供、相談、弁護士費用の立替えなどを行なう窓口。また、法テラスは国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所です。
参考:https://www.houterasu.or.jp/lp/sougou2022a/

 

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