つけ麵は大盛にしても原価の高いスープのコストが上がらない
それはラーメンの原価構成に秘密があります。ラーメンの売上に占める原材料費の比率は
30~35%と言われていますが、原材料の中で最もお金が掛かっているのが実はスープです。最近は1000円を超えるラーメンも増えてきましたが、これはこだわりのスープを作っているお店が増え、コストが上がっていることも要因です。
つけ麺の場合、スープの量がラーメンと比べて圧倒的に少ないため元々コストを低く抑えることができます。一方で、スープを飲まないため食べ応えと満足感が少ないということもあり、麵の量が多いお店がほとんどです。ラーメンだと麺の量が150g程度ですが、つけ麺だと300gが一般的です。また大盛にした場合、ラーメンはコストの高いスープも麺に合わせて増量しないといけませんが、つけ麺の場合は麺だけで良いのでそこまでコストアップになりません。
ラーメンのスープの種類や仕入先、こだわりの原料などで原材料費は変わりますが、一般的なラーメンとつけ麺の原材料費は下記のようになります。
このようにラーメンと比べてつけ麺は大盛にしてもラーメンほど原材料費が上がりません。大盛を無料にすることでより多くのお客さんに来てもらえることを考えれば、そこのコストアップは吸収しようというのがつけ麺の基本的な戦略です。事実、大盛無料のお店では多くのお客さんが大盛を注文しています。
しかし昨今、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり小麦粉の価格が高騰しています。もしこの相場が続けば、従来のつけ麺の戦略も転換を迫られる可能性があります。
イラスト/春仲萌絵