内訳を知れば納得! ラーメンの大盛は有料なのに、つけ麺の大盛は無料にできる「ロジカルな理由」

つけ麵は大盛にしても原価の高いスープのコストが上がらない

それはラーメンの原価構成に秘密があります。ラーメンの売上に占める原材料費の比率は
30~35%と言われていますが、原材料の中で最もお金が掛かっているのが実はスープです。最近は1000円を超えるラーメンも増えてきましたが、これはこだわりのスープを作っているお店が増え、コストが上がっていることも要因です。

つけ麺の場合、スープの量がラーメンと比べて圧倒的に少ないため元々コストを低く抑えることができます。一方で、スープを飲まないため食べ応えと満足感が少ないということもあり、麵の量が多いお店がほとんどです。ラーメンだと麺の量が150g程度ですが、つけ麺だと300gが一般的です。また大盛にした場合、ラーメンはコストの高いスープも麺に合わせて増量しないといけませんが、つけ麺の場合は麺だけで良いのでそこまでコストアップになりません。

ラーメンのスープの種類や仕入先、こだわりの原料などで原材料費は変わりますが、一般的なラーメンとつけ麺の原材料費は下記のようになります。

内訳を知れば納得! ラーメンの大盛は有料なのに、つけ麺の大盛は無料にできる「ロジカルな理由」 dai_conveni02_zu.jpg

このようにラーメンと比べてつけ麺は大盛にしてもラーメンほど原材料費が上がりません。大盛を無料にすることでより多くのお客さんに来てもらえることを考えれば、そこのコストアップは吸収しようというのがつけ麺の基本的な戦略です。事実、大盛無料のお店では多くのお客さんが大盛を注文しています。

しかし昨今、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり小麦粉の価格が高騰しています。もしこの相場が続けば、従来のつけ麺の戦略も転換を迫られる可能性があります。

内訳を知れば納得! ラーメンの大盛は有料なのに、つけ麺の大盛は無料にできる「ロジカルな理由」 dai_conveni02_zu02.jpgイラスト/春仲萌絵

 

平野薫
1978年宮城県大崎市生まれ。宇都宮大学農学部卒業後、キユーピー、帝国データバンクを経て、現在、小宮コンサルタンツでコンサルタントチームリーダー、エグゼクティブコンサルタントを務める。
帝国データバンク調査員時代を含めこれまで2000社の財務分析、1000人以上のビジネスパーソンに会計セミナーを実施。苦手意識を持つ人が多い「会計」を、豊富な事例と分かりやすい言葉で教えてくれると評判を博している。国内外107の経済指標を5年以上毎月更新。経済指標と実体経済を照らしあわせて説明する経済解説に定評がある。現在も16社の企業の経営会議に参加して業績数字のチェックも行っている。数字の羅列の中から変数を見出し、会社の問題点や予期せぬ成功を発見し、経営のアドバイスを実施している。

※本記事は平野薫著の書籍『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)から一部抜粋・編集しました。
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