秋の実りは小さな宝石/暮らしの晴れ間

静岡県熱海市在住の人気ガーデナー・水谷昭美さん。定期誌『毎日が発見』の連載「暮らしの晴れ間」から、季節を感じ、日々の暮らしをゆったりと楽しむ水谷さんの暮らしをご紹介します。今回は、「秋の実りは小さな宝石」をお届けします。

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ルビーのように赤い弾ける前の吊り花の実。

秋の実りは小さな宝石

実物が秋の日に艶々と光る季節。

枝を手折って飾り、花とは違う豊かさを部屋にちりばめます。

庭では、小鳥も熟れた粒に夢中。

例えば紫式部はメジロが大好きで、果肉をせっせとついばみ、種を運んで落とします。

その種は、きっと来年、思わぬところで芽吹くことでしょう。

実りは、春の始まりでもあるんですね。

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小さな棚に、野趣あふれる秋の野山の景色を作りました。曲がった野薔薇の枝も、ごつごつとした花梨も自然のままの姿です。

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弾けた吊り花の実の隣で、うさぎがお月見しているよう。甘いたれをかけた白玉に、刻んだ青柚子の皮を散らしていただきます。

美男葛(びなんかずら)

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茎の粘液を、その昔、整髪料に使ったことが名前の由来とか。ひとかたまりになって鈴なりに実をつけます。

山査子(さんざし)

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栄養価たっぷり。乾燥させれば生薬に。果実酒やジャムにも。

紫式部(むらさきしきぶ)/白式部(しろしきぶ)

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本当に宝石のような紫と白。小粒だけれど、庭に実れば、その色が遠くからでも目に入ります。まん中の緑色の実は夏に咲いた芙蓉。コリウスの赤い葉を添えたら、秋の風情いっぱいになりました。

【10月の定番料理】

つゆだくの巾着餅

秋の実りは小さな宝石/暮らしの晴れ間 2210_P004_06.jpgほかほかのランチが食べたくなる頃に作る一皿です。まず、下準備。油揚げに熱湯をかけてさっと油抜きをし、片方の端をカット。餅1個(油揚げ1枚に1個)と、薄切りのれんこん、ゆでた銀杏(缶詰でも可)を適量入れて、口をつまようじで留め巾着状にします。一方、鍋にかつお節と昆布のだし汁をたっぷり沸かし、つゆの支度を。うす口しょうゆと酒、塩少々で味付けし、餅入りの油揚げを加えて、餅が柔らかくなったらできあがりです。

取材・文/飯田充代 撮影/斎藤大地

 

水谷昭美(みずたに・あきみ)さん

1951年生まれのガーデナー。静岡県熱海市在住。幼い頃から一途に独学で多くの植物を育て、憧れだった里山ののどかな暮らしを体現し続けている。熱海市の公園や駅の植栽を手がけたことも。

この記事は『毎日が発見』2022年10月号に掲載の情報です。

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