人気ガーデナーの暮らしを拝見。庭の恵みを楽しむ「秋の食卓」/水谷昭美さんの暮らしの晴れ間

静岡県熱海市在住の人気ガーデナー・水谷昭美さん。定期誌『毎日が発見』の連載「暮らしの晴れ間」から、季節を感じ、日々の暮らしをゆったりと楽しむ水谷さんの暮らしをご紹介します。今回は、小さな庭にあふれる恵みを楽しむ水谷さんの「秋の食卓」をお届けします。

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涼やかな風に吹かれて咲く花と、色付く葉と、豊かな実り...。
小さな庭にあふれる恵みを心いっぱい楽しみます。

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たっぷりとした咲き姿の菊。その鉢をいつでも目に入る場所に置き、数日間愛でてから手折ります。

空が抜けるように青く高いある日、秋色に染まり始めた水谷家の庭に、ひと際目を引く花が咲きました。

それは、お日様のような色をした菊。

秋においしくいただこうと、春のうちから大事に育ててきた食用菊だそうです。

「私は根っからの食いしん坊なの」と微笑むと、1輪ずつ丁寧に収穫してキッチンに運び、手際よく料理。

ほどなくして、熱々の天ぷらができあがりました。

お皿でもう一度咲き直したかのように、花色は鮮やかなまま。

部屋の空気もぱっと明るくなりました。

菊花の天ぷら

2010_P005_01.jpg花と葉の形が見えるよう、衣は裏面だけに付けて揚げます。「さくさくの食感も味のうち。もったいないけど冷めないうちに食べなくちゃ」。

作り方

① 収穫した菊の花と葉をさっと水で洗う。

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② 小麦粉を水で溶いて薄い衣を作り、揚げる直前に花と葉の裏に軽くまとわせる。

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③ 170度の油でさっと揚げ、塩をふっていただく。2010_P004_05.jpg

菊の葉と八丁みその焼きみそ

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菊の葉の青い香りがする焼きみそ。小さいスプーンで、こそぎながら食べるのが楽しい。炊きたてのご飯にもよく合います。

作り方
① 洗った菊の葉を細かいみじん切りにする

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② ①と適量の八丁みそ、砂糖少々を合わせ耐熱皿に広げる。2010_P006_03.jpg

③ ②の皿を裏返し炭火でじっくりと焼く。みその表面が焦げて香りが漂ってきたらできあがり。レモン汁を搾っていただく。卓上の炭火焼きコンロを使っているが、手軽にオーブントースターで焼いても。

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果実から葉っぱまで。おいしい秋見つけた!

「菊の葉と八丁みその焼きみそは、思い出の味です。家に来たお酒好きのお客様に、おばあちゃんがおつまみとしてよくふるまっていたんです。私はね、大人の目を盗んでそれをつまみ食い(笑)」

幼い記憶をたどり、故郷・愛知県の名産である八丁みそで菊の葉を焼いていきます。

ほかのメニューにも思い入れが。

「小ぶりのイチジクは庭で収穫。実ったのがうれしくて、四つのうち二つはその場でぱくり。あとの二つを凍らせてみました。四方竹はある農場に出向いて収穫しました。秋のタケノコ狩りも、心待ちにしている恒例行事なんですよ」

凍りイチジク

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イチジク特有の果肉のとろみが残っていておいしい。かわいい形の葉にのせて。

作り方
洗ったイチジクを、冷凍庫で凍らせるだけ。皮付きのままいただく。

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夕日に照らされて光る柿の葉も色付いてきました。

四方竹とお揚げの炊き込みご飯

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断面が角の丸い四角形であることから、四方竹。秋に芽吹く竹で、いわゆるタケノコの一種です。炊き込みご飯は、水谷さんの秋の定番メニュー。まず皮ごとゆでて皮をむき、水にさらして下準備。2010_P007_03.jpg

作り方
① ゆでた四方竹約5本を食べやすいサイズの乱切りにする。油揚げ1枚は米粒サイズに細かく切る。

② 鍋に①を入れ、適量のかつおだしで煮て、だしの風味を含ませる。

③ 研いだ米2合に、酒約1/3カップ、塩ひとつまみ、しょうゆ少々を加えた2のだし汁を2合の目盛りまで入れ、②の具材をのせて炊く。

④ 青のりをふっていただく。

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庭の片隅にイチョウの芽を発見。昨年の秋に、ダメ元で土に埋めたぎんなんから発芽したものです。

ぎんなんソテー

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「イチョウは紅葉と実りを両方楽しめていいですね」と水谷さん。葉が鮮やかな黄色に色付く頃になると、毎年近所にある大きな木まで車を走らせ、葉がはらはらと舞うその下でお弁当を広げるそうです。

作り方
① 金づちを使ってぎんなんの殻を割り、薄皮をはがす。

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② 熱したフライパンに少量のサラダ油を熱し、①を炒める。ぎんなんに透明感が出たら火を止め、塩をふっていただく。

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黒枝豆

黒枝豆は丹波地方の黒大豆を成熟する前に収穫したもの。

成熟するとお正月などに使われる黒豆になります。

出荷量が少なくなかなか出合えないそうですが、今日は偶然に見つけて食卓へ。

「ちょっとぜいたくな前菜ね。ほっこりしていて、甘味が濃くて大好きです」。

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作り方
鍋に湯を沸かして塩を入れ、黒枝豆を好みの硬さにゆでる。

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季節の色をあちこちに...和みの秋飾り

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小さな秋を集めて、家にいながら紅葉狩り。

散歩の途中で拾った赤い葉っぱや実ものを使って、私たちにもできそうです。

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楓の手紙
落葉した庭の楓の葉の中から、いちばんきれいな1枚を選んで手紙に添え、封をします。大切な友人に、秋の色と香りも届けます。

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紅葉と早咲き椿
玄関の棚にしつらえた出迎え花です。椿は西王母(せいおうぼ)という早咲き品種、小さな赤い実はサルトリイバラ、中央の大きな赤い実はザクロ。小皿やお猪口を花器にしてそれぞれに花材を生け、間につるを渡しています。

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ハロウィンのかぼちゃ
赤いかぼちゃに顔を描きました。ねじり鉢巻きは、ビーズのブレスレット。おもちゃのミニかぼちゃと一緒に庭に飾ります。外を行き交う人がこれを見て笑顔になってくれますように。

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取材・文/飯田充代 撮影/斎藤大地

 

水谷昭美(みずたに・あきみ)さん

1951年、愛知県生まれ、静岡県熱海市在住。幼い頃からお小遣いを全て花代に使ったという生粋のガーデナー。著書に『小さな庭に四季をつくる』(主婦と生活社)ほかがある。

この記事は『毎日が発見』2020年10月号に掲載の情報です。

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