気づいたら、顔がずいぶん老けていた――年齢を重ねると、ふと感じることがありますよね。たしかに加齢は原因の一つですが、もしかしたら「間違ったメイク」によって「顔の老け」を強調しているだけかもしれません。そこで、5万人以上もの女性のメイクを変えてきた浅香純子さんの著書『50歳からは塗りすぎをやめると美しくなる~銀座、予約の取れない大人のメイク教室』(大和書房)から、10歳は若返る「自分でできる清潔感メイク術」のヒントをお届けします。
アイラインが失敗してもマスカラで挽回できる
日本人は真面目すぎると言われますが、教室で生徒さんを見ていると、たしかにそうかも......と思うことがあります。
たとえば教室で、「アイラインは目尻から2ミリ長く入れる」と教えていますが、あくまでも2ミリというのは目安で、あとは自分の手加減しだい。
でも、メイクに慣れない方は、「先生、これくらいですか? もっと長い方がいいですか?」と聞いてこられます。
もちろん、初めてのレッスンでは清潔感メイクをきちんと知ってもらいたいので、質問は大歓迎です。私も、その方の顔だちに合わせて、もう少し長く入れた方がいいか、その長さが適切なのかをアドバイスできます。
でも、もっと自分の感性を信じて、アイラインを引いてから、「これ、どう思いますか?」と聞いてもらえるようになると、メイクの可能性が広がるんじゃないかと思います。
だって、アイラインなんて失敗しても、消して入れ直せばいいんですから。
もっと言えば、アイラインがうまく入れられなくても、まつ毛の根もとからマスカラをしっかり塗れば、アイラインの不足は補えるんです。
アイメイクの一番の目的は、瞳をきれいに見せること。そのための方法はひとつではありません。ひとつのアイテムで完結させようとせず、いくつかのアイテムを使いながら、結果的にアイメイクがきれいに仕上がればいいのです。
細かいところに夢中になりすぎると、つい手段にばかり注意が向いてしまって、目的がおろそかになりがちです。そんなときはだいたい前のめりになっているので、1度姿勢を正して、少し離れて鏡を見る。そして目的をもう1度はっきりさせる。やりすぎもまた、清潔感を失わせることを忘れずに。
1ミリの誤差もない顔なんて
生徒さんの悩みで多いのが、「肌のくすみ」「顔のたるみ」そして「眉」。眉は左右で形と位置を合わせなければいけない、ということで難易度が上がり、うまく描けないと1日中イライラする、なんて言う人もいるほど。
でも、みなさんが思うほど気に病むことでもないんです。だって、眉が左右対称な大人の人なんて、この世の中にはほとんどいないんですから。ストレスを感じながら、眉間にシワを寄せて、必死になって揃えることなんてないんです。
そもそも40歳以降は噛みグセや寝グセで、体も顔も歪んできます。その歪みを補うのがメイクの役目。だけど、無理に揃えようとすることがストレスになるなら、しなくていいんです。だって、たかがメイクなんですから。
つい最近見た洋画で、新しい発見がありました。女優がふたり出てくるんですが、そのふたりとも眉の位置が左右非対称だったんです。それは、そういう顔を、メイクさんがわざわざつくっているということ。
「ああ、こういうのもありなのね」と感心しながら、揃えない眉も個性的で素敵だなと思いました。
それと同時に、私たちはメイクに対して、少しストイックすぎるのかな、とも思いました。これが正解というものがあると、どうしてもそれに忠実に従おうとしてしまう。細部まで、きちんと再現しようとしてしまう。
それは新しいことを習得するうえで、とても素晴らしいことなんですが、そこに執着しすぎるとストレスになり「きれいになる」ということ、また、そこから派生する「幸せになる」という目的から外れることになるのです。
お手本はあくまでお手本。お手本の顔とみなさんの顔は違いますよね。だから、お手本の顔を目的として、手段を真似るのはナンセンス。
自分の顔を「清潔感のあるきれいな顔にする」ことを目的にして、手段は自分の顔に合わせて適宜アレンジを加えていく、くらいの気持ちでいいんです。メイクにストレスを感じるくらいなら、やり方を変えたらいい。そう、たかがメイクなんですから。
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