気づいたら、顔がずいぶん老けていた――年齢を重ねると、ふと感じることがありますよね。たしかに加齢は原因の一つですが、もしかしたら「間違ったメイク」によって「顔の老け」を強調しているだけかもしれません。そこで、5万人以上もの女性のメイクを変えてきた浅香純子さんの著書『50歳からは塗りすぎをやめると美しくなる~銀座、予約の取れない大人のメイク教室』(大和書房)から、10歳は若返る「自分でできる清潔感メイク術」のヒントをお届けします。
大人の見た目は信用・信頼にかかわる
目の前にきちんとメイクした妙齢の女性、ノーメイクの妙齢の女性がいます。どちらかの女性と一緒に仕事をしなければならないとしたら、あなたはどちらを選びますか?
やはり「仕事」と限定されると、イメージが優先されますから、メイクした女性を選ぶ人が多いのではないでしょうか。
ファストファッションのスタッフが個性的だったり、カジュアルメイクでも気になりませんが、価格も敷居も高くなるハイブランドほど、スタッフの身だしなみが気になったりします。
高級ブティックや宝飾店の女性スタッフが、みんなきれいにメイクをして、きちんとした服装をしているのも、そのブランドを代表しているという誇りと、自分が信頼されるに足る人間であることを証明するため。
そう考えると、私たちは思った以上に、見た目を重視して生活しているということが分かります。
逆に言うと、身だしなみを整えていなければ、信用も信頼もされないということ。若い女の子がファストファッションにノーメイクで歩いていても「かわいいわね」で済みますが、大人が同じことをしたら「イタい」と思われるだけ。絶対に避けなければいけません。やはり、年齢を重ねているからこそ、大人は見た目を気にしなければいけないのです。
メイクは適度な緊張感を生む
メイクは女の戦闘服という言葉もあるくらい、女性のメイクには「気合入れ」という側面もあります。
若いときはとくにそうですが、人生をかけるような大一番を前に、気合を入れてメイクすることで、気持ちを盛り上げる。それがいい悪いではなく、メイクには、自分に適度な緊張感をつくり出す効果もあるのです。
ご主人を送り出してひとりっきりで過ごす日中。人目がなくなってダラッとしそうだと思ったら、メイクで気持ちを引き締める。それだけで背筋が伸びて、「さぁ、どこに行こうか」という気持ちになります。
デビューしたてのアイドルがどんどんきれいになるように、外に出て、人に見られるだけで女性はきれいになります。だから、さしあたって予定がなくても、自分のためにきれいにメイクをする。これは衰えを遅らせるためにも、自分をきれいに保つためにも大切なこと。いつも自分に手間をかけて、小ぎれいでいることを意識してください。
大人のきれいさというのは、生き方や姿勢、表情、声や言葉づかいなどに出ると思います。もちろん身だしなみも大切ですが、そこに知性を感じることができなければ、きれいな大人とは言えません。
私が本当にきれいだと思うのは、樹木希林さん。テレビや映画でしか見ることはなかったけれど、あの姿勢、生き方、話し言葉......。理想的な年の取り方をされていると思います。髪も染めず、あえて何もしないことで、シワまできれいと思わせる、あの透明感、存在感、そして知性。
若い人のきれいさが清々しさだとしたら、70代、80代のきれいさというのは、潔さ。
いろんなことを乗り超えたからこそ生まれる輝きの美しさ。なんだか、年を取るから出てくる「年齢ツヤ」みたいですね。
だから、50代の今からメイクのテクニックを磨き、知性を磨き、感性を磨く。いろんな経験を糧として、10年後、20年後にさらに輝けるように準備しましょう。
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