45歳妻のモラハラに耐えかね、恋人を作って家を出た夫。夫を取り戻したい妻に待ち受ける「戦い」とは

モラハラを泣いて謝った妻への、夫の反応は

そこまで言われるのはさすがにきつい。が、そこまで言うしかないほど、夫も追い詰められていたのだろう。

「それに夫は離婚を考え始めてから、いろいろと本を読んだらしくて、自分がされてきたことはもしかしたらモラハラじゃないかと思うようになったそうです」

もしかしたら、ではなく、話を聞いた限り、彼女の発言の数々はモラルハラスメントと認定される可能性は高いだろう。

経験がある人もいると思うが、モラハラを受けた時、相手ではなく、まず自分を責めてしまう。この人はそんな人間じゃない。自分のためを思って言ってくれているのだと信じたい。好きだったら尚更だ。が、それが却って相手を増長させて、更にモラハラを悪化させてしまう。彼女の夫もそうだったのではないか。

「特に子供の前で自分をないがしろにされるのが耐えられなかったって言われて、ハッとしました。確かに私、そういうこともしていましたから......。その時、やっとわかりました、私、モラハラをしていたんだって」

モラハラは男が女にするものと思っている人が多いかもしれないが、もちろん性別に関係ない。その上、彼女のように、発言した方にはその自覚がないというのがほとんどだ。

モラハラは相手を委縮させ、自信を喪失させ、心を壊してゆく、忌むべき行為である。

「だから夫には泣いて謝りました。私がばかだった。幸せ過ぎて、大切なものが見えなくなっていた。これから心を入れ替えてあなたを大切にする。だから離婚だけはしないでって」

夫の反応はどうだったのだろう。

「もう手遅れだって」

彼女がとても悔いているのは伝わって来るが、夫の気持ちを考えると安易に同情はできない。

「でも私、どうしても離婚したくないんです。今は恋人と盛り上がっているかもしれないけれど、時間がたてば冷静になるはずです。夫は子供を可愛がっているし、何のかんの言っても父親のない子にはしたくないだろうし、いつか必ず戻ってくれると信じて、待とうと決めています」

そして彼女は最後に言った。

「今回のことでよくわかりました。結婚前、夫は私にずっと片思いしていました。今度は私がそれをする番なんだって」

夫を取り戻したいのなら、もう愛情云々ではない?

確かに、失くしてはじめて気づくものはある。
彼女は今、現実を突きつけられている。

ただ、どれほど後悔し、心から謝ったとしても、世の中には許されないことがある。夫をそこまで傷つけたのに、それでも挽回のチャンスを求めるのは、残酷な言い方だが、結局は自分のことしか考えていないと思えてしまう。

彼女が「愛しているから別れたくない」と言うのと同様、夫は「もう愛していないから別れたい」と主張するだろう。夫はもう妻の愛を必要としていないのだから、愛情を武器にしても無駄なのだと覚悟しておいた方がいい。

子供たちのために、を理由にするのもわからないではないが、それを押し通して、たとえ夫が戻って来たとしても前のような関係に戻れるだろうか。彼女はひたすら気を遣い、夫は頑なさを崩せない、そんな状態で生活をしても、ぎくしゃくするのは目に見えている。それを傍で見て育つ子供たちは何を思うだろう。

両親が離婚をすれば子供らが傷つくのは当然だ。特に、多感な年ごろの娘とまだ小学生の息子である。けれど子供らもやがて成長してゆく。自分たちのせいで両親に無理に結婚生活を続けさせたとわかれば、逆に気が咎めるのではないか。

そんなこんなを考えても、ここは自分の気持ちばかりを優先せず、離婚を決断することも大切ではないかと思えてくる。

 

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※本記事は唯川恵著の書籍『男と女 恋愛の落とし前』から一部抜粋・編集しました。

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