▶「なんであんな女と...」ゲス不倫夫を許さない。旦那に裏切られた「サレ妻」たちの衝撃エピソード【漫画】
男は世間体をとり、女は自分をとる――。
直木賞作家・唯川恵氏による、自身初となる新書『男と女 恋愛の落とし前』 (新潮新書) は、12人の女性のリアルな証言を取り上げた「恋愛新書」。
「大人の恋には、大人の事情というものがあり、責任があり、それなりの心の準備や意識の持ち方、ルールも必要だ」と語る著者は、36歳から74歳までの大人の女性と対話し、女性たちの恋愛模様を「恋愛小説の名手」ならではの視点で一刀両断。
「不倫はするよりバレてからが本番」「始まりはふたりの意思、終わりは片方の意思」など、手痛い名言にあふれる本書は、帯に「35歳以下、閲覧注意！」と記されるほどビターでありながら、中毒性をはらんだ一冊。
※本記事は唯川恵著の書籍『男と女 恋愛の落とし前』から一部抜粋・編集しました。
26歳の時に転職先で出会った40歳の男性上司に一目惚れした女性。15年にわたる既婚者との関係を経て、43歳の今、思うこととは？
（「長い不倫の末に現実に気づいた43歳」＃1）
「この間、大学時代の友人から近くに引っ越して来たって連絡を貰って、遊びに行ったんです。卒業してから全然会っていなかったんですが、あの子が結婚して、ふたりの子供のママになって、家庭ってものをしっかり築き上げている姿を目の当たりにしたら、よかったねという気持ちと、何て言ったらいいか、嫉妬みたいなものがこみ上げてきて......。まさかそんな気持ちになるなんて、自分でもびっくりなんですけど」
嘉穂さんは43歳。都内の特許事務所に勤めている。強い結婚願望がないまま、気が付いたら今も独身である。小柄で、一見地味そうだが、よく見ればとても端正な顔立ちで、いい意味で都会ズレしていない感じのいい女性である。
「大学進学と同時に上京して、かれこれ25年になります。東京では一回り上の独身の叔母のマンションで同居することになっていたので、親も安心して送りだしてくれました。大学の授業もそれなりに出席して、サークルにも入って、叔母の会社や飲食店でアルバイトして、大学2年の夏には同い年の彼氏も出来て、大学生活はエンジョイしたと思います。氷河期でしたが就職活動も順調で、ビルメンテナンス会社の事務職に内定しました」
順風満帆である。
「おかげさまで。でも、付き合っていた彼とは卒業後にお別れしました」
なぜ？
「実は彼、留年して、内定していた会社に行けなかったんです。それでもしばらく付き合っていたんですけど、社会人と学生ってやっぱり違うんですね。デートしても、共通の話題はないし、行くのは相変わらずの安い居酒屋ばかりだし、お金にしてもいつの間にか私ばかりが払うようになって。でも、それが理由じゃないんです。彼、内定もなかなか決まらないのに呑気に構えてて、就職できなかったら世界を放浪しようか、なんて言い出す始末で、いつまでたっても学生気分のままなんです。そんな彼がだんだん子供っぽく見えて来て、気持ちが離れてしまったんです」
よくある話である。学生から社会人へと環境が変われば人も変わる。金銭感覚をはじめ、責任感の持ち方、時間に対する観念、人との付き合い方、言葉遣いひとつをとってもズレが生じてくる。
もしかしたら彼は、先に社会に出た彼女に対してコンプレックスがあったのかもしれない。だから、わざとちゃらんぽらんな態度をとって、逆の形で対抗してしまったとも考えられる。が、今は彼のことは置いておこう。
仕事はどうだった？
「それが、まったく楽しくなくて......」
あら。
