「手洗い場」を身なりが整えられる場所に。モデルの香菜子さん「40代からのトイレコーディネート」

仕事にお金、住まいなど、これからの暮らし方に悩むことも多い40代。日々を楽しむために、「自分が大切にしたいことを暮らしに取り入れて、いらなくなったものをなくしている」と言う人気モデルでデザイナー、母でもある香菜子さん。今年で45歳を迎えた彼女が、40代からの暮らし方をまとめたフォトエッセイ『毎日、無理なく、機嫌よく。』(すばる舎)から、気持ちを軽くして日々を過ごせるヒントを連載形式でお届けします。

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トイレの整えグッズ

わが家のトイレの手洗い場は、ものを置くスペースが広くて気に入っています。

せっかく広いので、なにかお気に入りのものを置くのもいいけれど、お客様のための「整えグッズ」を揃えてみようと、あるとき思いつきました。

そうすることにしたのには、2つ、きっかけがありました。

ひとつは、飲食店のトイレでたまに見かける整えグッズを見てから。

個装されたマウスウォッシュ、綿棒、楊枝、コットン、ティッシュペーパーなど、用を済ませてから身なりを整えるのには、いいタイミングですよね。

お店の心遣いに感謝しながら使わせてもらっています。

いつか家でもやってみたいな、と思うきっかけになりました。

もうひとつは、以前、気が利く方のお宅へお邪魔したとき。

帰る前に「お手洗いは大丈夫ですか?もしお使いになるなら、どうぞ」と一声かけてくださいました。

「ちょっとトイレ借ります」と言えばいいのですが、なんとなくどこかで「ちょっと悪いなあ、帰りの途中どこかに立ち寄ろう」という方も多いのではないでしょうか。

わたしもどちらかというと、後者側です。

でも、先方からこう促していただけたら、とても気持ちよくお借りすることができますし、お借りする際に、帰る前の身支度もできます。

お茶や食事を振る舞われたら、女性は口紅がとれてしまうから、外に出る前に直すこともできます。

その気が効く方は、用を足すことだけではなく、身支度も心置きなくどうぞ、ということも促してくれたのだと思います。

なるほど。

トイレって、整えるにはとてもいい場所なんだなあ。

それに気づいたわたしは、改めて考えてみました。

トイレのドアを閉めたら、お客様が気兼ねなく、なんでも自由に使えるようにするには、なにが必要か。

まずは、お宅にお住まいのご家族が使われているタオルと同じものを使うことにためらうこともあるので、小さめの紙ナプキン。

ティッシュとして使ってもいいように。

口の中をさっぱりさせたいならば、マウスウォッシュ。

横に、使い捨ての小さな紙コップ。

これは、街のパッケージショップで、飲みものの試飲サイズのものを手に入れます。

ワインなどの試飲でよく使われていますよね。

何個か重ねて、埃がかぶらないように伏せておきます。

それらのものを置くのに、シンプルな木のトレー。

そばには、使い終わった紙コップやティッシュを捨てる小さなゴミ箱。

ひととおり整えたら、〝ご自由に〟のパフュームを。

トイレでリラックスして、香りを身にまとっていただいて、ちょっとした「非日常」も味わって欲しいのです。

106-010-162.jpgトイレの整えグッズ。左からガラス細工五つ。アロマポット、主にミントの香りを焚いてリフレッシュできるように意識しています。臭い消しのドロップ(スポイトつきの瓶)。紙ナプキン、マウスウォッシュ、紙コップ、ハンドクリーム、爪用ブラシ

よそのお宅におじゃましたときは、もうそれ自体が非日常です。

楽しくおしゃべりして、おいしいお菓子とお茶。

または、おいしいお酒とおいしい食事もありますよね。

あ~~~楽しかった。

その夢がまだ続くように、最後のトイレできれいに身支度。

いい香りをまとって、楽しい思い出が頭からこぼれないように、ゆっくり優雅に帰路についてもらって、「ただいま」と自宅に帰ったあとも、わが家でつけてくれた香りがふんわり残っていたら、まだほんの少し、楽しい非日常が続いている気分になれるはずです。

翌日には消えているだろうけれど、脳のどこかの片隅に、「あの家に行くと気分がいいな」という記憶が残ってくれたら、こんなうれしいことはありません。

写真/砂原 文

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香菜子(かなこ)
1975年、栃木県足利市生まれ。在学中にモデルを始め、1998年に出産を機に引退。2005年、第二子出産を機に雑貨ブランド「LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)」を設立。2008年にイラストレーターとして活動を開始し、モデル業も復帰。2018年には架空のホテル「VILHELMS」を作り、備品などイメージしたプロダクトの制作を開始。著書に『普段着BOOK』(主婦と生活社)、『香菜子さんのおとな服練習帖』(宝島社)などがある。

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『毎日、無理なく、機嫌よく。』

(香菜子/すばる舎)

23歳で第一子を出産し、モデル業を引退。30歳で第二子出産後、雑貨ブランドを設立し、33歳のころからはイラストレーターとして活動。さまざまなことにチャレンジしてきた著者が45歳を迎えた今、母親として、社会人として、日々感じるつらい思いを無理なく受け入れて、人生を機嫌よく楽しめる考え方をまとめたフォトエッセイ。人生の折り返し地点を迎えたあなたの肩の力を、そっと抜いてくれます。

※この記事は『毎日、無理なく、機嫌よく。』(香菜子/すばる舎)からの抜粋です。
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