今や音楽はストリーミングやダウンロードで聴くのが当たり前の時代ですが、1980年代はカセットテープの全盛期。好きな音楽をダビングしたカセットテープを作ったり、友達同士で貸し借りしたりと、いろいろな思い出があると思います。今回はカセットテープにまつわるエピソードを、編集部がセレクトしました。
1:すてきな貸し借りの時間はすべて勘違い...大学時代のしょっぱい思い出
「大学時代、軽音楽サークルで出会った先輩の女子Aさん。『どんな曲を聴くの?』と音楽の話で盛り上がり、カセットテープを貸し借りする仲に。返却の際には、手作りのカセットラベルと手紙が添えられていました。手紙にはびっしりと感想が。『ラブレターみたい...』と、天にも昇る気持ちで過ごしていました。しかし、どうやらAさんは誰から借りたテープでも同じように返しているようでした。勘違い野郎の自分にガックリしました...」(ウジさん・59歳)
青春時代のこうしたやりとりには、甘酸っぱい思い出がつきものです。残念ながら勘違いに終わってしまいましたが、プラトニックなやりとりは胸が締め付けられます。
2:同じ名前に驚き! 息子も持っていた私の懐かしい「青春の友」
「息子がバイト代で買ったMP3プレーヤーを見て『時代は進化したなあ』と感心してしまいました。ただ、私が使っていたカセットテープのプレイヤーと同じ名前と知って驚き! ネットで調べてみたところ、少し前に40周年モデルも発売されているではありませんか。しかも、再生すると液晶のテープがくるくると回り、往年のファンをくすぐる仕様でした。あまりの懐かしさに、寝ている夫を起こして『買っていい?』とお伺いを立てていました(笑)」(とらとら・52歳)
カセットテープ世代が、今のMP3プレーヤーの進化を目の当たりにすると驚いて当然です。しかし、機能や形は違っても商品名が同じとは、懐かしさがこみあげてしまいますよね。
3:ドライブ中のカセットテープは「両思いのサイン」だった!?
「18歳の頃、片思いをしているバイト先の先輩と2人でドライブに行くことに。先輩が編集してきたカセットテープの曲はどれも私が知っているものばかりで、その日を機に仲良くなりました。そして、3回目のドライブのときこと。この日のカセットテープはちょっと違って、バラードやラブソングが流れていました。その後は疎遠になってしまったのですが、あとから聞いたところによると、普段はラジオをかける人で、私と出かける時にだけカセットテープを用意していたようなのです。あの時の選曲を考えると、実は両思いだったのかも...」(梅の実さん・49歳)
「淡い恋心を抱いていたのは私だけじゃなかった!?」と思うと、胸がキュッとなりますね。心にそっとしまっておきたい青春時代の恋話です。
4:捨てる前に見つけてよかった! 亡き祖父が愛したカラオケルームで見つけた宝物
「若い頃から歌うことが大好きだった祖父。96歳で亡くなって約4カ月が経ち、祖父の宝物だったDVDやカセットテープを処分することに。遺品を整理していると『カラオケ大会練習』と、私の名前が書かれたカセットテープを見つけました。再生してみると、幼稚園くらいの頃の私の歌声が。『上手! その調子じゃ』と、優しい声で褒める、祖父の声も録音されていました。家族に聞いたところ、幼稚園でカラオケ大会があり、祖父がその練習に付き合ってくれた時の様子とか。今では私の宝物として大切に保管しています」(つよぽん・40歳)
思わぬところで生前の声が聞けるなんて、残された家族にとってはどれだけうれしいことか。もしかしたら天国からの贈り物かもしれません。
5:私が進路を導いた!? カセットテープの交換がDJになったきっかけに
「中学校の同級生だったFくん。80年代の洋楽がお互いに好きで、おすすめのアルバムをカセットテープにダビングして交換していました。そんなFくんと5年前の同窓会で再会。そこで知ったのですが、なんとFくんはDJになっていました! 『中学の頃、カセットテープの交換をしていたからこそ今の自分があるんだ。ありがとう!』と感謝されました。そう言えばカセットを交換していたのは彼だけ。もしかして私はF君のこと、好きだったのかも」(梅の実さん・49歳)
「音楽をダウンロードで購入している若い世代を中心に、カセットテープが流行っている」という記事を読んで思い出したという、梅の実さん。カセットテープの交換で友情を深めていくなんて今では味わえない青春ですね。
好きな音楽を好きなだけ手に入れられる今の時代なんて、苦労して音楽をコレクションしていた世代からすると味気なく感じてしまうのではないでしょうか。便利ではない時代のほうが、実は体験としては豊かだったのかもしれませんね。