弁護士費用を援助する制度もあるんです。知っておきたい「弁護士への相談費用」/おとめ六法(26)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

弁護士費用を援助する制度もあるんです。知っておきたい「弁護士への相談費用」/おとめ六法(26) pixta_46829558_S.jpg

弁護士さんに相談するのはお金がかかる?

相談費用が払えない......?

「ちょっとお話するだけで何万もかかるのでは?」と聞かれることもありますが、そんなことはありません。

事務所によって基準は違いますが、相談だけの場合、30分で5000円(税別)、というのが一般的です。

事前に相談料がいくらなのか、聞いてみましょう。

インターネットで検索して専門分野を調べ、事務所に直接問い合わせてもいいですし、弁護士会や法テラス(日本司法支援センター)の法律相談に問い合わせてみるのもいいでしょう。

「DV夫と離婚したい」「兄弟姉妹の仲が悪いので相続でもめそう」「犯罪被害にあって刑事裁判に関わることになった」といったような場合、自らの権利を守るためにも弁護士に依頼したほうがよいケースはたくさんあります。

お金がない場合でも、弁護士費用を援助する制度がありますので、利用できるかどうか問い合わせてみましょう。

離婚や相続などの民事・家事事件の場合

無料法律相談

法テラスは、国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。

一定の資力基準を満たす場合、法律相談を3回まで無料で受けられます。

資力基準は、居住エリアや家族の人数等によって異なりますので、法テラスの公式ホームページで確認してください。

民事法律扶助制度

相談だけでなく、実際に事件を依頼する場合には、あなたの資力に関する基準を満たすと、法テラスが弁護士費用を立替払いする「民事法律扶助制度」があります。

通常の弁護士費用よりもかなり安く基準が定められています。

法テラス、弁護士、利用者の三者契約です。

法テラスが弁護士に直接弁護士費用を支払い、利用者は月々3000円~1万円を分割返済します。

生活保護受給中の場合など、返済義務が免除される場合もあります。

犯罪被害にあった場合

日弁連委託援助制度

犯罪被害者やご遺族のために活動する弁護士に、依頼者に代わって弁護士費用を支払う制度です。

対象となる犯罪は、殺人や傷害、性犯罪、ストーカーなどの生命、身体犯です。

詐欺罪や窃盗罪などの経済犯は対象外です(ただし、下着泥棒などの場合、対象となる場合もあります)。

原則、預貯金や手持ちの現金が300万円以下である場合に利用できます。

依頼できる活動内容は、加害者の告訴・告発、法廷傍聴付き添い、加害者側からの示談の申し出があった時の交渉、報道機関からの取材などに対する対応などです。

国選被害者参加弁護士制度

加害者が起訴された場合、被害者は裁判に出席して、被告人に直接質問したり、検察官とは別に求刑を求めたりすることができます。

これを「被害者参加」といいます。

被害者の預貯金などが200万円以下の場合、国選で弁護士をつけることができ、弁護士費用は国から支払われます。

これを「国選被害者参加弁護士制度」といいます。

対象となる犯罪は、殺人、性被害、交通事故などですので、検察官に確認しましょう。

国選被害者参加弁護士は、被害者参加に関する活動を全面的にサポートします。

なお、被害者参加をして出廷すると、被害者には交通費・宿泊費が支払われ、日当も出ます。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

弁護士費用を援助する制度もあるんです。知っておきたい「弁護士への相談費用」/おとめ六法(26) おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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