どんな人を選べばいいの? 現役弁護士が教える「弁護士へ相談するコツ」/おとめ六法(25)

DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。

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弁護士に相談って、どうすればいいの?

気軽に相談してOK!

弁護士は、「基本的人権を守り、社会正義を実現すること」を使命としている法律の専門家です。

法律というその国のルールに基づいて、人々の自由、財産、健康などの権利を守るとともに、不正が行われることのないように、社会を見守り、みんなが安心して暮らせる社会になるよう仕事をしています。

ただ普通に生活していると、弁護士に相談する機会はあまりないので、ハードルが高く感じられる人も少なくないでしょう。

そのせいか、かなり事態が悪化してから相談する方が多い印象です。

しかし病気と同じで、早く相談するほど、早く解決する可能性が高いです。

「弁護士に相談するほどのことではない」と思い込まずに、気軽に相談することをおすすめします。

相談した結果、「たいしたことではない」とわかれば、無用な不安を抱き続けずにすみます。

逆に「重大なことと判明」した場合は、すぐに弁護士が対処できます。

相談のコツ

①関係のある書類・資料はすべて持参しよう

事実の経過や契約の内容などを正確に把握するためには、いろいろな書類を確認する必要があります。

また、言葉では説明しにくくても、書類を見ればすぐにわかるということもあります。

関係のありそうな書類や資料は、すべて、相談の際に持って行くのがよいでしょう。

書類は重要な証拠になることもあります。

直接書き込みをしたり、破ったりしないようにしましょう。

②出来事を時間順に並べたメモ

弁護士に事実の経過を正しく理解してもらい、有益なアドバイスを受けるためには、出来事を時間順に並べたメモを作成し、このメモに基づいて相談をするとよいでしょう。

ただし、時間がなかったり、つらくてメモを作れないときは無理する必要はありません。

相談時に口頭で説明しましょう。

③事実をありのままに

弁護士は、事実を正確に把握しないと、的確なアドバイスをすることができません。

弁護士はあなたの秘密を守りますので、自分にとって不利だと思われることや、恥ずかしくて言いにくいことも、ありのままに伝えましょう。

また、自分ではささいなことと思っていても、弁護士の目から見れば重要であることもありますので、自分で判断せずに、なんでも話しましょう。

どんな弁護士さんにお願いしたらいいの?

「どのように弁護士を選んだらいいのですか?」「いい弁護士ってどう判断したらいいのですか?」ということをよく聞かれます。

弁護士は、法律問題についてなんでもわかるわけではありません。

医師と同じで、それぞれに専門分野や得意分野があります。

まずは、専門分野を確認しましょう。

専門分野の知識があっても、弁護士も相談者も人間ですから、合う・合わない、は常に問題になります。

「話しやすい人か」「どんなことでも話してみようと思えるか」「きちんと自分の話を聞いてくれるか」「人として相性が合いそうか」というのが、ひとつの判断基準です。

どれほど素晴らしい専門知識があっても、「話したくない」人とは良好な関係を築くことができず、結果的に不利益を被るおそれもあります。

相談事項について専門分野が合致し、実際に会ってみて「話しやすい」「良好な関係を築けそう」と思ったら、思い切って依頼してもいいでしょう。

弁護士との契約は「委任契約」ですから、嫌になったらいつでも理由なしに解除できます。

セカンドオピニオンを聞いていいの?

病院と同じで、ほかの弁護士にセカンドオピニオンを求めても、まったく問題ありません。

一度相談したからといって、その弁護士に断りを入れる必要もありません。

いろんな弁護士の意見を聞きたいとか、相談した弁護士の考え方や態度に疑問がある場合など、遠慮なくセカンドオピニオンを求めましょう。

長きにわたって一緒に闘っていく可能性があるのですから、「この人なら」と思える人を選んでください。


ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『おとめ六法』記事リスト

どんな人を選べばいいの? 現役弁護士が教える「弁護士へ相談するコツ」/おとめ六法(25) おとめ六法_帯あり.jpg六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。

 

上谷さくら(かみたに・さくら)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。

岸本学(きしもと・まなぶ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。人権擁護委員会第5特別部会(両性の平等)委員。民間企業のコンプライアンス統括部門を経て、2008年横浜国立大学法科大学院を卒業。同年司法試験合格。金融庁証券調査官を経て、2010年弁護士登録。

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『おとめ六法』

(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)

恋愛、インターネット、学校、生活、仕事、結婚など、生活に必要な法律の概要を解説しています。従来の一般向けの法律書とは違い、女性の生活各場面に関連する法律をピックアップして分かりやすく解説しています。また、生じたトラブルにへの対処法もあわせて説明しています。女性の一生に寄り添う法律を網羅した、すべての女性の味方になる実用的な一冊です。

※この記事は『おとめ六法』(上谷さくら、岸本学/KADOKAWA)からの抜粋です。

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