DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。
大切な生活を根っこから奪う「配偶者からの暴力・DV」
DV防止法では、「DVとは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命、または身体に危害を及ぼすもの)」と定義されています。
「配偶者」には内縁関係も含まれます。
また、暴力を受けた後に離婚した場合にも、DV防止法は適用されます。
「配偶者」は男女の性別を問いません。
生活の本拠を共にする交際相手からの暴力について、この法律が準用されます。
いかなる暴力も犯罪です。
暴力をふるわれたら、警察に連絡してかまいません。
日頃から警察や自治体の担当部署、配偶者暴力相談支援センター等で相談しておくと、万が一のときもスムーズです。
110番は、少しでも危険を感じたら積極的に連絡してかまいません。
「大事でないと110番をしてはいけない」と思われがちですが、そのためらいが被害を生んでいる面もあります。
結果的に危険なことが起きなかったとしても警察は怒りません。
「夫に殴られそう」というだけで、駆けつけてくれます。
現行犯逮捕もありえますが、夫婦間のことで、逮捕までは望まない人もたくさんいるので、「いきなり逮捕!」というのはよほどのことでないかぎりされません。
家庭内の暴力は立証が難しいことが多いので、動画、録音などの証拠を残しましょう。
詳細を日記につけておくことも重要です。
必要があれば、警察等がシェルターを紹介してくれます。
一定の要件を満たせば、夫が近づかないようにできる「保護命令」を裁判所に申し立てることができます。
保護命令には、自分や子どもに近づくことを禁止する「接近禁止命令」や自宅から出ていくように命ずる「退去命令」があります。
ただしこの効力は6カ月間で、さらに自分の主張がすべて相手に開示されることになります。
配偶者暴力相談支援センターは、DV被害者支援のための拠点となり、次の業務を行っています。
● 相談、または相談機関の紹介、カウンセリング
● 被害者および被害者の同伴する家族の緊急時における安全の確保およびその一時保護
● 被害者の自立生活促進のための就業促進、住宅確保、援護等に関する制度の利用についての情報提供、助言、関係機関との連絡調整など
● 保護命令制度の利用についての情報提供、助言、関係機関への連絡など
● 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供、助言、関係機関との連絡調整など
さまざまな支援を行っていますので、自分に必要な相談をしてみましょう。
ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。
六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。