その歴史は1世紀近く! 科学とともに歩むパーマの技術/すごい技術

pixta_38508858_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●パーマ剤

男女を問わず、パーマは髪のおしゃれの基本。そのパーマがどのようなしくみなのか、考えたことはあるだろうか。

パーマとは、パーマネント(permanent「永久的な」の意味)の略。好きな髪型を長期間保持できる美容技術だ。メンズパーマなどといって、近年では男性のおしゃれにも一役買っている。

実は、パーマには1世紀近くの歴史があるが、そのしくみは、まさに化学の教科書そのものである。タンパク質の分子の性質が理論通りに利用されているのだ。

髪の毛は、表面を覆うキューティクル、その内部にあって髪の主要部分を占めるコルテックス、中心部のメデュラの三つから構成されている。

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キューティクルは、うろこ状に重なって毛髪表面を覆い、内部を保護している。コルテックスは、毛髪のしなやかさ、強さ、軟らかさなど物理的性質、いわゆる毛質を左右する部分である。ケラチンと呼ばれる繊維状のタンパク質が一列に並んでできており、パーマはこのケラチンをターゲットにする。ケラチンは18種類のアミノ酸からできている。その中で髪を特徴づけるのがシスチンである。

少しややこしいのだが、シスチンはアミノ酸システイン二つが結合してできていて、それらはシスチン結合と呼ばれる特殊な結合をしている。これが髪のクセを決定しているのだ。

思いの通りの形に髪をセットするには、まずこのシスチン結合を切って形をリセットし、さらに再結合させるという2段階を追えばいいことになる。髪を構成するアミノ酸をレゴのブロックと考えるなら、まず、積み上がっていたブロック(元の髪型)をバラバラにしてから再構築(セットした髪型に)する、という2ステップを踏むのだ。

そこで、パーマの薬剤は第1剤と第2剤の2種類に分けられ、順を追って塗布(とふ)される。第1剤にはシスチン結合を切る薬剤が、第2剤にはそれらを再結合させる薬剤が入っている。このように、パーマをかけるときにはタンパク質の化学反応を利用している。パーマを頻繁(ひんぱん)にかけると髪が傷む理由もここにあるのだ。

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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