何もかもうまくいかない・・・そんな日はゆっくり動く。モデルの香菜子さん「40代からの心の整え方」

仕事にお金、住まいなど、これからの暮らし方に悩むことも多い40代。日々を楽しむために、「自分が大切にしたいことを暮らしに取り入れて、いらなくなったものをなくしている」と言う人気モデルでデザイナー、母でもある香菜子さん。今年で45歳を迎えた彼女が、40代からの暮らし方をまとめたフォトエッセイ『毎日、無理なく、機嫌よく。』(すばる舎)から、気持ちを軽くして日々を過ごせるヒントを連載形式でお届けします。

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うまくいかないときは、ゆっくり動く

今日は手先が寝ぼけていて、ものをよく落とす。

料理の段取りがなんだかうまくいかない。

スーパーに夕飯の買いものに来てみたものの、献立がまったく決まらず、売り場をうろうろ......。

そんな、いろんな「うまくいかない」ことが重なる日が時々あります。

なんででしょうね?

逆に、なんでもちゃっちゃか、おもしろいように物事がうまく運ぶ日もある。

そんな日があるからこそ、なにをやってもうまくいかない日は、自信がなくなってなんだか落ち込みます。

「気持ちを切り替えて」と言いたいところですが、どこかにうまくいかない自分を認めたくない部分があって、やっかい。

目の前にやるべきことがあるなら、なおさらです。

そんなときは、ゆっくり動いてみることにしています。

どうせうまくいかないなら開き直ってしまおう、とある日思いついたのです。

たとえば仕事のメールの返信時、キーをいつもの0.8倍速くらいで打つ。

その言葉を打っているときは、その言葉に気持ちを寄せる。

送信する前にもう一度ゆっくり読んで、誤字脱字がないか、失礼がないかを確認する。

歩くときもゆっくり。

棚の上に置いてあるラップをとりだすときは、ゆっくり棚の扉を開け、ゆっくり掴んで、ふわりと降ろす。

大根を千切りするなら、ゆっくり包丁を動かして。

いつもなら曲がっちゃう切り口もまっすぐになるように輪切りをしたら、きれいに少しずつずらして並べて、等間隔を意識して千切りを作っていきます。

開けたドアは、閉めるときのカチンという音を確認してからドアから離れる。

おやつに食べるピーナッツの殻を、中を潰さないように優しく割る。

薄皮をていねいにむく。

口に入れる前にきれいにむけたなあ、と感じてみる。

家族の話をひたすら聞いてみる。

結論は言わないようにして。

コーヒーを淹れるときは淹れることに集中してみる。

お湯は沸騰したてじゃなく、一呼吸置いた、ほんの少し冷めたものをゆっくりドリップしていく。

立ち込める薫りを鼻からゆっくり、たっぷり吸う。

飲んだカップをテーブルに置くときは、コトン、という音さえ聞こえないくらいにていねいに置く。

106-008-100.jpgうまくいかないことが重なったときこそ、ゆっくりていねいにコーヒーを淹れて、カップをていねいに置く。

106-008-101.jpgドリッパーはKINTO。カップアンドソーサーはARBIA。どちらもデザインが好きです。

休みの日だったら、リビングのカーテンをゆっくり外し、洗濯機で洗う。

外す、洗う、干すは重労働だけれど、ゆっくりこなしていけば疲れないし、きれいになって気持ちがいいという目に見える効果がある。

このように、いつもだったら「めんどうくさいな」と思うことが、ゆっくりやっていたら、いつのまにか終わっていることがあります。

いつもだったら効率よく、早く終わらせることに意識が向きがちだけれど、あえてゆっくり動いていると、「でも、待てよ?わたし、早く終わらせてどうしたいんだっけ?」という至極シンプルな疑問が湧いてきます。

電車でも、目の前の電車に焦って乗らなくても十分間に合うはずなのに、急いで乗ってしまうとか。

もし1本早い電車に乗れたとしても、もしかしたら誰かを押しのけていることに気づかないかもしれません。

1本ゆったり見送ってホームで余裕を持って電車を待ったら、少し気持ちの余裕ができて、満員電車に乗ったとしてもイライラしなくて済むかもしれません。

効率よくやる、なんて自己満足だけなのかも?

もちろんゆっくりしすぎて人を待たせてはいけないけれど、ゆっくりできるところは、ゆっくりこなしてみませんか?

お手軽リフレッシュ法です。

写真/砂原 文

第1回から読む:捨てて売って、モノを減らして、ふと気づいたこと

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106-H1-murinaku.jpg「自分のものさし」「体と心の管理」など、5つの視点で「40代の自分」との向き合い方がわかるヒントが散りばめられています

 

香菜子(かなこ)
1975年、栃木県足利市生まれ。在学中にモデルを始め、1998年に出産を機に引退。2005年、第二子出産を機に雑貨ブランド「LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)」を設立。2008年にイラストレーターとして活動を開始し、モデル業も復帰。2018年には架空のホテル「VILHELMS」を作り、備品などイメージしたプロダクトの制作を開始。著書に『普段着BOOK』(主婦と生活社)、『香菜子さんのおとな服練習帖』(宝島社)などがある。

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『毎日、無理なく、機嫌よく。』

(香菜子/すばる舎)

23歳で第一子を出産し、モデル業を引退。30歳で第二子出産後、雑貨ブランドを設立し、33歳のころからはイラストレーターとして活動。さまざまなことにチャレンジしてきた著者が45歳を迎えた今、母親として、社会人として、日々感じるつらい思いを無理なく受け入れて、人生を機嫌よく楽しめる考え方をまとめたフォトエッセイ。人生の折り返し地点を迎えたあなたの肩の力を、そっと抜いてくれます。

※この記事は『毎日、無理なく、機嫌よく。』(香菜子/すばる舎)からの抜粋です。
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