着なくなった大島紬がたんすに眠っていたら、この季節にぴったりのコートに直してみませんか? やさしい手ぬいを提案する高橋恵美子さんのきものリフォームをご紹介します。
体を包み込むゆったりシルエット。左右重ねる、えりがポイント
大島紬は、鹿児島県・奄美大島発祥の絹織物。
手織りの繊細な柄は美しく、いつの時代もきもの好きの憧れです。
ただ、サイズが合わないなどの理由で、着られなくなった一枚をたんすに眠らせているという声もよく聞きます。
リメイクして、もう一度、新しいおしゃれ着として楽しみませんか?
このコートのいちばんのおしゃれポイントはえり。
きものを着るときのように、左右のえりを少し重ねて着ます。
前立てに配したボタンはきもの柄の中の1色、赤を選んでアクセントに。便利な大きめのポケット付きで、大島紬ならではのはり感と光沢もうれしいところです。
コートはきもののもともとの形を最大限に生かしていますから、ほどくのはえりだけ。袖も身頃のぬい目も残したままで、簡単に作れます。
上のボタンを外すとえり元がまた違う表情に
上のボタンはループで開け閉めします。
写真のように外してえり先を広げ、ふわりと折ってもすてき。
ボタンを閉めずにさらりと羽織っても
カジュアルなデニムやスニーカーとも相性よし。
改まった装いからカジュアルまで多くの場面で活躍するでしょう。
歩みに合わせて裾が揺れるのは、軽やかな絹素材だからこそ。
袖先をロールアップして、きものの裏地(八掛)の色をのぞかせても。
おそろいの大島紬で、きものの八掛(裏地)を生かしたバッグも作れます
無地の服に合わせると、大島紬の色柄が映えて、目を引きます。
バッグは、コートを作ったときに余ったきものの裾部分で作ったものです。
入れ口の際にちらりとのぞく鮮やかな赤い裏地は、袷のきものの袖口や裾に付いている裏地・八掛。きものだったときの、表裏の粋な色合わせをそのまま生かしています。
作り方は簡単。同じサイズに裁った四角い表裏布を重ねて、袋状にぬうだけです。
形はシンプルなトート形ですが、大島紬の色柄には独特の艶と高級感がありますから、おしゃれ感は満点。
アクセントの赤を延長させ、持ち手の色も赤にそろえています。
赤い裏地が八掛。きものの裾裏に4枚、えり裏に2枚、おくみ裏に2枚、合計8枚掛けることかが名前の由来です。
表地と共色のものと、この大島紬のような別色の組み合わせがあります。
コートとバッグの作り方は、『毎日が発見』2019年11月号P124~127で紹介しています。