足がしびれて立つのがつらい...でもそれ、体の「異常」を知らせる大事な機能です

「年を取ると時間が早い」「写真の自分の顔に違和感がある」など、私たちの暮らしの中で感じるちょっとした不思議、実は科学で解明されているものも多いそうです。そこで、世界600万人が支持したニューヨークタイムズベストセラー『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』(文響社)から厳選し、誰かに伝えたくなる「科学の雑学」を連載形式でお届けします。

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体の交通渋滞!?「しびれ」の不思議

足を組んだままで何時間も動画を見ていたり、腕枕をして寝たりしていると、必ずと言っていいほど感じるのが「しびれ」だ。

でも、あの電気が流れるみたいな感覚はなんなのだろう。体の中ではなにが起きているのだろう?

われわれの神経系は脳、脊髄、神経で構成されている。脳と脊髄から成るのが中枢神経系だ。この中枢神経系は、体の管理センターのようなもので、目や耳から入ってくるすべての情報を統合し、体を動かす筋肉に伝えている。

逆に、枝のように身体の末端まで広がっているのが末梢神経だ。小指やつま先を動かしたとき、この末梢神経を通じて、情報が伝達されることになる。中枢神経が体の高速道路だとすると、末梢神経はそれよりも規模の小さい道と考えることができるだろう。

神経はニューロンと呼ばれる、特定の刺激(熱さ・寒さ)などに反応する、長い細胞の束でできている。ニューロンは、電気信号(インパルス)を一方向に送ることで、全身へ情報を伝えている。

たとえば、火傷するほど熱いコーヒーを飲むと、舌にある温度(熱)受容器がその熱さを察知し、ニューロンが脳へ「熱いっ!」という信号を伝える。そしてその信号を受けとった脳は、口にある筋肉へ「コーヒーを吐き出せ!」という別の信号を送るのだ。

どうだろうか、よくできているだろう?こういうシステムのおかげで、われわれの体は守られているのだ。

しびれを感じているときは、いわば神経系という「道路」上で交通渋滞(または混乱)が起きているのと同じ状態だ。足を組んだり、腕枕をしたりすると、圧迫によって身体の血流が抑制され、特定の神経に到達しなくなってしまうのである。

そういう場合、脳は「末梢神経が混乱している」と察知し、しびれのおおもとである神経の出口や締めつけ部分を解放することで、血管内の血流の滞りを解消しようとする。そのために、まず異常を知らせるための電気信号を流す。これがしびれの正体と言える。

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だから、しびれは、圧力がなくなって血流が再開すると解消する。もう異常をうったえる必要はないからだ。

ちなみに、肘先の内側の部分をうっかり机の角にぶつけたとき、腕に「しびれ」のようなビビッとした刺激を感じたことはないだろうか?

実はこのしびれは、肘の尺骨神経によって引き起こされている。この部分は筋肉組織が薄く、神経が直接圧迫されることになるため、ピリッとした痛みが走ることになるのである。

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足がしびれて立つのがつらい...でもそれ、体の「異常」を知らせる大事な機能です 033-syoei-ikinarisaiensu.jpg「感覚」「体」「心」など5つテーマで、37の疑問を科学的に解説。理系が苦手でも、クスッと笑えます

 

ミッチェル・モフィット/グレッグ・ブラウン

カナダ在住。さまざまな現象を科学的に解明するYoutubeの人気番組『Asap SCIENCE』の創設者。チャネル登録者数は800万人以上。2015年に配信された「このドレスの本当の色は?!」という、色覚の不思議を扱った動画は、ネットを中心に話題となって2000万回以上も再生された。

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※この記事は『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』(ミッチェル・モフィット、グレッグ・ブラウン/文響社)からの抜粋です。
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