西田敏行さんと三國連太郎さんのコンビでおなじみの映画シリーズが人気を博した漫画『釣りバカ日誌』で知られる北見けんいちさん。今年で連載40周年を迎え、78歳になったいまも精力的に活動しています。その原動力はどこにあるのでしょう。「人生楽ありゃ苦あり。僕は最初に苦労したからいまが一番楽しいね」という北見さんにお話をお聞きしました。
前の記事「北見けんいちさんが語る心臓手術「簡単には死なせてもらえない」/「わたしの体験記」(1)」はこちら。
同世代の漫画家や友人は、興味を持ったら即実行!
――同世代の漫画家さんやご友人が大勢いらっしゃると聞きました。北見さんも含め、若々しくいられる秘訣は?
興味を持ったら実行する人が周りに多いですね。僕の場合は写真が趣味で、先日はテレビで見た日光の景色があまりにきれいで、すぐに出かける準備をして日光へ。カメラを手に気ままに歩いて、おいしいものを食べて帰ってきました。
――とてもアクティブですね。北見さんは食べることもお好きなんですか?
そうですね。昔から肉が好きで、毎日でもいいくらい。お酒は普段飲まないですが、飲むときは赤ワインか日本酒と決めています。若い頃と比べて酒量は減ったけど、食べる量はさほど変わってないですね。本当は心臓のこともあるし、食事にも気を使った方がいいんでしょうけど、あまり神経質にならず、おいしく食べて、楽しく適度にお酒を飲むことを心がけています。
時間をかけられる分、漫画の構成力は上がっている
――そんな中、体力の衰えを感じることはありますか?
当然あります。仕事面でも、若い頃に比べると一つ一つの作業に時間がかかるようになりました。昔は徹夜も当たり前でしたが、いまは朝10時から仕事を始めて、どんなに忙しくても深夜2時には就寝するようにしています。でも、悪いことばかりではなく、昔より時間をかけられる分、漫画の構成力は上がっている気がします。
僕の仕事は、十三さんが書いたシナリオを読んで、自分なりにそしゃくしてビジュアル化していく映画監督のようなもの。キャラクターの仕草や場面転換をはじめ、せりふを「え?」と「へ?」どっちにするか、それとも「Why?」かなとか、そういうことを自由に決められるのが楽しいですね。
――仕事で行き詰まったときの気分転換は?
電車が好きで、仕事部屋に鉄道模型を置いているのですが、時間を見つけてはコツコツと手を加えるのがささやかな楽しみです。でも、なるべく行き詰まらないように、まとまって休めるときは与論島で過ごします。
取材・文/Choki(! 田辺千菊) 撮影/村上未知 イラスト/小川温子