北見けんいちさんが語る心臓手術「簡単には死なせてもらえない」

西田敏行さんと三國連太郎さんのコンビでおなじみの映画シリーズが人気を博した漫画『釣りバカ日誌』で知られる北見けんいちさん。今年で連載40周年を迎え、78歳になったいまも精力的に活動しています。その原動力はどこにあるのでしょう。「人生楽ありゃ苦あり。僕は最初に苦労したからいまが一番楽しいね」という北見さんにお話をお聞きしました。

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満州で生まれ育ち引き揚げの苦難を体験

僕は満州(現・中国東北部)で生まれて、4歳のときに終戦を迎えて日本に引き揚げてきました。満州の記憶はほとんどないのですが、引き揚げ船で日本を目指す途中に多くの人が亡くなって、遺体を海に沈める光景はいまでも鮮明に覚えています。

幸いわが家は全員生きて帰って来られたけど、きっとそのときに一生分の苦労をしたんじゃないのかな。だから、その後の人生は本当にツイてる。『釣りバカ日誌』も40年続くなんてありがたいね。しかも、自分がこんなに長く生きるとは思ってもいなかったし、世にいう定年を過ぎても好きな仕事を続けられていることに日々感謝しています。

 

――長く生きると思っていなかったという理由は?

うちは短命の家系で、母が59歳、父が67歳で他界して、親戚も70歳まで生きた人が誰もいない。だから、自分の生命保険も65歳を満期にしてたのに、なぜか生き延びちゃった。

 

――健康維持のために気を付けていることはありますか?

長いこと糖尿病と高血圧を患っているので、本当は気を付けないといけないんですが、たばこもやめられないし、生活習慣を変えるのは難しいですね。おまけに心不全も患って薬でごまかしていたら、むくみや息切れがひどくなって、しっかり検査したら心臓の3割しか動いてないと言われて...。このままではいつ心臓が止まってもおかしくない状況だったので、2年前に心臓にペースメーカーを入れる手術をしました。

 

――術後の体調はどうですか?
手術前は100m歩くのも苦しかったのが、いまでは人並みに歩けるようになりました。そのおかげで少し体重も落ちて、体調もいいですね。しかも、僕が移植したのは両心室ペースメーカーといって、発作が出ると自動的に蘇生を行うらしい。すごい時代だね。そう簡単には死なせてもらえないみたい(笑)

 

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取材・文/Choki!(田辺千菊) 撮影/村上未知

 

 

北見けんいち(きたみ・けんいちさん

1940年、満州生まれ。赤塚不二夫のアシスタントを経て、1979年よりビッグコミックオリジナルで『釣りバカ日誌』(原作・やまさき十三)の連載を開始。1988年に松竹で実写映画化され、22年続いた人気シリーズとなる。現在、ビッグコミックで『北見けんいちの昭和トラベラー』を連載中。


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釣りバカ日誌 100集

(700円+税 小学館)

昨年刊行された記念すべき100集。鈴木建設で働く平社員のハマちゃんは、出世より釣りと家庭をこよなく愛し、仕事そっちのけで社長のスーさんと仲良く釣りざんまい。ところが、ワカサギ釣りに行った帰り道にトラブルが勃発し、スーさんのつまらぬ保身でハマちゃんのクビ問題に発展する。

この記事は『毎日が発見』2019年6月号に掲載の情報です。

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