さまざまな生物のすぐれた能力。私たちの暮らす地球の驚くべき事実。メディアをにぎわせる「最新科学」のニュース。驚くべき速さで進歩するITの話題。世の中には、学校では教わらなかった現代科学の話題があふれています。
職場で、学校で、家庭で。明日の雑談のネタにピッタリな、知っておくと自慢できる「科学の雑学」をお届け!
※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「意外にデリケート? 地球の軸は大地震で傾くこともある/身近な科学(42)」はこちら。
その理由は大陸の構造にあり
南極で数多くの隕石(いんせき)が見つかる謎
南極大陸で採取される隕石は南極隕石という〝ブランド〟で呼ばれています。というのも、これまで採取された隕石の実に7割以上が南極大陸産で占められているからです。
大陸総面積の1割に満たない南極大陸で、なぜこれほど多くの隕石が見つかるのか。南極大陸をめざして隕石は宇宙から飛来するのでしょうか。
実は、隕石は地球上の他の場所に比べて南極にだけ多く落下しているわけではありません。南極大陸の構造が隕石を採取しやすいようにつくられているのです。
南極大陸の氷の上に落ちた隕石は、氷の中に埋まります。氷は氷河となって海に向かって流れますが、閉じ込められた隕石もその流れにしたがいます。
流れの先に山脈があると、そこで氷河はせき止められ、やがて氷が風に削けずられ昇華(しょうか)して消えます。こうして隕石だけが氷の表面に露出するのです。隕石が南極大陸でたくさん採取されるのは、発見のしやすさと採取の容易さが原因だったのです。
この隕石と氷のしくみに最初に気づいたのは日本の調査隊。1969年、昭和基地近くの「やまと山脈」で隊員が偶然発見したのがきっかけです。
次の記事「小天体との衝突で誕生した月は、今も地球へと落ち続けている⁉/身近な科学(45)」はこちら。