派遣切りにあいバーで愚痴る女性。夜遅くにかかってきた電話の相手とは?

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『セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール』 (桜井美帆/KADOKAWA)第5回【全7回】

ハッピーマネー小説『セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール』(KADOKAWA)の主人公のジュンは、仕事も恋もうまくいかず、夜ごと、お酒を飲みながら人生を嘆く派遣社員。「貧乏・不幸マインド」に支配され、自分自身の可能性を信じられない女性です。物語はジュンが行きつけのバーで、謎の大富豪メディチーナさんと偶然出会ったことで、大きく転換しはじめます。彼女は幸せなお金持ちになれるのでしょうか? スピリチュアルな内容だけにとどまらず、セレブの振る舞いや資産運用にまで踏み込んだこの小説から一節を抜粋しご紹介します。

※本記事は桜井美帆著の書籍「セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール」から一部抜粋・編集しました。

幸運の女神は3秒ルール

「今日から、どんなことでもチャンスだと捉えてね。たとえ、不幸が目の前に現れたと思っても、ここにはどんな学びがあるのだろう? どんなチャンスが待っているのだろう? と思ってね」

そのとき、スマホが鳴った。またも派遣会社からだった。こんな遅い時間に仕事のわけはない。どうせ説教だろう。電話に出たくない。

しかし、メディチーナさんは電話に出るようにサインを送ってくる。これがチャンスだなんて思えないと思いながらも、渋々電話に出てみた。

「はい」

「山中ジュンさんですか? 実は、お願いがありまして...」

うわ。どうせ嫌なお願いをされるんだわ。不吉な予感がした。

「急に欠員が出てしまいまして、明日からどうしても働いていただきたい派遣先があるんです」

私は思わず立ち上がった。まさかこんな遅い時間に派遣依頼?

普通じゃない。あり得ない。初めての経験だった。

「え? 私でいいんですか?」

「はい! ぜひ、お願いします。アパレル業界で一番大きな会社です」

その会社は、私が一度面接に落ちた憧れの会社だった。自分にはハードルが高くて働けないんだと思い込んでいた会社だった。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

見えない電話先の相手に、私はお辞儀までして電話を切った。メディチーナさんはニッコリとほほ笑み、

「おめでとう。乾杯」

とグラスを差し出してきた。

「ありがとうございます。もしもメディチーナさんがいなかったら、今頃私は、電話に出ないでチャンスを逃していたと思います。本当に電話に出てよかったです。派遣先が決まりましたー。やったー」

私はびっくりしながら、メディチーナさんから拍手喝采をもらった。

「さぁ、次はご褒美よ。お仕事が決まったんだから祝杯をあげましょう」

そう言って、メディチーナさんは私のためにシャンパンをオーダーしてお店にも祝福の嵐が巻き起こった。

 
※本記事は桜井美帆著の書籍「セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール」から一部抜粋・編集しました。

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