『セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール』 (桜井美帆/KADOKAWA)第1回【全7回】
ハッピーマネー小説『セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール』(KADOKAWA)の主人公のジュンは、仕事も恋もうまくいかず、夜ごと、お酒を飲みながら人生を嘆く派遣社員。「貧乏・不幸マインド」に支配され、自分自身の可能性を信じられない女性です。物語はジュンが行きつけのバーで、謎の大富豪メディチーナさんと偶然出会ったことで、大きく転換しはじめます。彼女は幸せなお金持ちになれるのでしょうか? スピリチュアルな内容だけにとどまらず、セレブの振る舞いや資産運用にまで踏み込んだこの小説から一節を抜粋しご紹介します。
※本記事は桜井美帆著の書籍「セレブのカバンはなぜ小さいのか お金と幸せの秘密ルール」から一部抜粋・編集しました。
私の人生もこれで詰んだな――
多くの社員たちの前で退職の挨拶をしながら、私の心は闇に包まれていた。長年勤めていた会社の派遣契約を来月末で打ち切りたいと、部長に言われたのは先月のこと。
いつか正社員になりたいと願って飛び込んだ華やかなアパレルブランドの会社。現実は違っていてずっと派遣のままだった。
「あ~あ、いつかは、正社員になって安定して、お金もたくさん稼いで、キラキラした生活を送ってみたいと思っていたんだけどな...」
貧乏暇なしでおしゃれも充分にはできない私は、覇気もなく、暗くて、イキイキと仕事をこなしていた正社員の人とは大違い。確かに私は違う。彼らは私が望んでいる世界を謳歌しているのに、どうして私には同じことができないのだろう?
自分でもわからない。
派遣だからなのか、餞別のお花もなく、廊下をとぼとぼと歩いていると、ひときわ輝く元婚約者と幸せなオーラを放った後輩とすれ違い、気分はどん底へ。しかも、退職する荷物を抱えた私に、勝ち誇るように放たれた言葉は、
「あら? 会社、辞めちゃうんですか? ざんね~ん」
私は、クビ同然。その言葉に対して、卑屈に笑うしかなかった。
その日、私は行きつけのバーでお酒をガブ飲みしていた。
「マスター、酷くないですか? あの後輩、私の元婚約者を奪ったんですよ。わざわざ、最後にその彼と一緒に歩いているところに遭遇するなんて。しかも、あの女のせいで、私、クビになったかもしれないと思って。なのにわざとらしく、ざんね〜んなんて。あー虫唾が走る!」
「その子、なかなかの性格だなぁ」
「でしょ!? 役員クラスの娘で、コネで入社して正社員なんですよ。私より若いのに、私より先に嫁いで、私よりも多く稼いでいて...悔しい~」
マスターが、空いたグラスにワインを注いでくれるのを見て、私の愚痴も止まらない。
「しかも、私がフラれたのは先月なのに、今月もうその後輩と婚約発表って、どういうことですか? それってもしかして、私、思いっきり二股かけられていたってこと? もう辛すぎて夜も眠れません」
机に突っ伏して塞ぎ込んでいると、テーブルの上に置いてあったスマホが動き出した。バイブレーションの振動が音を立てる。
「ジュンさん、スマホ鳴ってるよ」
マスターの呼びかけでスマホを持ち上げてみると、その着信は派遣会社からだった。