【名画のひみつ】カメラのない時代に流行した「集団肖像画」。巨匠レンブラントの代表作『夜警』を解説

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『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』 (著:青い日記帳、監修:川瀬佑介/KADOKAWA)第3回【全5回】

ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』や葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』、ゴッホの『ひまわり』といえば、誰もが知っている「名画」ですよね? でも、「名画がなぜ名画と呼ばれるのか?」は、意外に知られていないかもしれません。 「名画とは、その時代に誰も知らなかった方法やテーマで世の中を驚かせた作品を意味します」と話すのは、1年に300以上の美術展に足を運び、ブログやSNSでレビューを行う青い日記帳さん。 その著書『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』(KADOKAWA)は、青い日記帳さんの解説とともに、時代背景や画家の知られざるエピソードをふまえて名画をじっくり楽しめる1冊です。

※本記事は著/青い日記帳、監修/川瀬佑介の書籍『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』から一部抜粋・編集しました。

これぞ記念写真の元祖!? レンブラント

17世紀の巨匠レンブラント・ファン・レインの代表作である『夜警』。縦3.8m×横4.5mの大きな絵です。よく見ると人々の顔がずいぶんリアルに感じられませんか?

それもそのはず、この絵はじつは「集団肖像画」なのです。アムステルダム火縄銃組合の注文で描かれたこの絵は、カメラのない時代に記念写真の役割を果たしました。実在の人たちがモデルで、中央に立つのはバニング・コック隊長です。

この作品が名画とされる理由は、絵の場面設定にあります。よくある記念写真のように人々がお行儀よく並んでいるのではなく、今まさに出発するような臨場感のあるポーズでドラマチックに描いているから。

聖書の登場人物や王侯貴族が多く描かれる西洋絵画ですが、ここでは一般市民が登場しています。オランダはヨーロッパでいちばん早く市民が力を持ったため、一般の人々でも肖像画を依頼できたのです。とはいえ、一人の肖像画もたくさんあり、そのほうがメジャーだったでしょう。

目立たせたいところはスポットライトで強調

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『夜警』という題名ですが、じつは昼間の場面として描かれました。長い時間が経つうちに茶色く変色して、夜の風景のように見えたため、そのように名付けられました。
『夜警』1642年/アムステルダム国立美術館(オランダ、アムステルダム)

別の作家も描いていた、流行の集団肖像画

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17世紀オランダでは集団肖像画を欲しがる人が多く、多くの画家が作品を残しました。この作品もその一つです。
トマス・デ・ケイセル『アムステルダム第3地区の市民警備隊、アラート・クローク船長とルーカス・ヤコブス・ロトガンス中尉の指揮』1632年/アムステルダム国立美術館(オランダ、アムステルダム)

全員の顔が見えるのがユニーク

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医学博士が解剖をしながら説明している場面ですが、全員がどんな顔かわかるのは集団肖像画の描き方だからこそです。
『テュルプ博士の解剖学講義』1632年/マウリッツハイス美術館(オランダ、ハーグ)

【豆知識】
「光と闇の魔術師」とも呼ばれたレンブラント。舞台上でライトの光を浴びているように、陰影を強くして劇的に描いています。陰の部分で顔が暗く描かれた人からは、苦情を受けたとも言われています。

 
※本記事は著/青い日記帳、監修/川瀬佑介の書籍『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
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