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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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臓器と〝会話〟する「マイクロバイオーム」
人の体の半分は、人ではない
人の体は「人の細胞でできている」と思っていませんか。そうではありません。人本来の細胞個数は全体の半分以下。残りは細菌やウイルス、菌類などでできています。これらの総体をマイクロバイオームと呼びます。
マイクロバイオームは人体のいたるところに存在します。皮膚や口内だけでなく、内臓や目の中にも存在しています。
マイクロバイオームは出産時に母親からもらうと考えられています。そして、生活するうちにさまざまな場所から取り込みます。マイクロバイオームの中で最近よく話題になるのが腸内細菌でしょう。その集まりは腸内フローラと呼ばれます。
腸内細菌は単に人間に寄生しているだけではありません。人の腸と協力して化学物質をつくり出し、それを用いて人の各臓器と〝会話〟しているのです。たとえば「幸せホルモン」といわれるセロトニンの多くも、腸内細菌によってつくられた物質が脳に運ばれ、合成されるといいます。私たちの感情の一部は、実は菌がつくり出しているのです。