カフェは地域の「縁側」のような場所。新しい地域づくりの拠点になれる/鎌田實

雑誌『毎日が発見』で連載中。医師・作家の鎌田實さんの「もっともっとおもしろく生きようよ」から、今回は鎌田さんが「カフェ」について語ります。

pixta_25109061_S.jpg前の記事「コーヒーには死亡率を下げる効果がある/鎌田實(1)」はこちら。

 
孤立を防ぐ被災地のカフェ

カフェという場は、一人でもリラックスでき、人ともいい距離感でふれあうことができる場です。かつてはどこの家にも半分オープンな「縁側」というのがありましたが、カフェは地域の「縁側」のような場所だと思っています。

ぼくは東日本大震災の直後から東北に通い続けています。直後は、医療や食料など、命を救うための支援が必要。しばらくすると自分で健康を守り、日常を取り戻していくための支援が必要になってきます。

ぼくが代表をしているNPOでは、宮城県石巻市に仮設のおふろを2カ所設営し、被災者に入ってもらう支援を続けてきました。そのとき、おふろに来た人たちがお互いにふれあえるカフェがあったらいいなと思い、交流スペースを設けました。

人が前を向いて生きていくには、人とのつながりが支えになります。安心できる居場所ができてこそ、心のなかの声を発することができると思ったからです。

被災地に、しゃれたコーヒー屋さんがあってうれしくなる。南三陸の山の中の「coffee iPPO(カフェ イッポ」という自家焙煎にこだわったカフェ。小川が流れる山の中。うわさを聞いて、たくさんの人がコーヒーを飲みに来るといいます。いい雰囲気です。

1810p119_03.jpg南三陸の山の中のしゃれたカフェ。


岩手県大槌(おおつち)町のベルガーディア鯨山(くじらやま)には、亡くなった人と話ができるという「風の電話」がある。電話線はつながっていない。その園内にあるガーデンカフェは、コンテナを改装したすてきなところ。

1810p119_04.jpg大槌町のベルガーディア鯨山で。

 

新しい地域づくりの拠点に

ぼくにもカフェをつくりたいという夢があります。全国には800万戸以上の空き家があるといわれていますが、その空き家を利用して、地域の人がいろんな形で利用できる古民家カフェがいいなと思っています。

たとえば、朝カフェ。健康を考え、毎日食べたくなるようなモーニングサービスを出すカフェがあれば、一人暮らしで栄養が偏りがちな高齢者や、朝忙しい会社員や主婦なども便利に利用するのではないでしょうか。健康を守りながら、中高年の孤立を防ぐこともできます。

同じ場所で、10時頃から認知症カフェをオープンします。認知症になっても、少しのサポートがあればおいしい料理を作れるおばあちゃんがいます。接客や食器洗いなどできることをして働くことで、いきいきとした笑顔を浮かべる人も多いのです。

そして、夕方は、子ども食堂に変身します。困難の中にいる子どもたちが食事をしたり、宿題をしたりする場ができたらステキです。 子どもから高齢者まで、いろんな人がふれあえる場ができると、新しいまちづくりにつながっていきます。少子高齢化の社会のなかで、健康を守り、人とふれあい、地域をつくる、そんなカフェの可能性はまだまだ広がっていくと思います。

 

鎌田 實(かまた・みのる)さん

1948 年生まれ。医師、作家、諏訪中央病院名誉院長、東京医科歯科大学臨床教授。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。『だまされない』(KADOKAWA)、『曇り、ときどき輝く』(集英社)など著書多数。

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この記事は『毎日が発見』2018年10月号に掲載の情報です。
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