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"働かない"働きアリが いるってホント !?
イソップの童話にも見られるように、働きアリは常に働いている"働き者"というイメージがある。しかし、アリのコロニー(集団)の中には、ほとんど"働かない"働きアリが常に 2~3 割いることがわかっている。自然選択の条件下では、短期的効率を高めることが原則となっているにもかかわらず、コロニーの短期的な生産効率を下げる"働かない"働きアリがいることは、長年、大きな謎となっていた。
この謎を解き明かしたのが、進化生物学者で北海道大学大学院准教授の長谷川英祐(えいすけ)氏が率いる研究グループ。長期にわたるアリの行動観察やコンピューター・シミュレーションを通じて、働きアリが働かない、意外な理由を発見した。
アリのコロニーには、常に誰かが処理していないと、集団全体が致命的なダメージを受けてしまう役割が存在する。そこで研究グループは、日本全国に生息するシワクシケアリを飼育し、長年にわたってその行動を観察。よく働いているアリが休んでいるときに、ふだん働かないアリが何をしているのかを調査したところ、最初によく働いているアリが休むようになると、それまで働かなかったアリが動き始めることを確認した。
さらに、コンピューター・シミュレーションで、勤勉なアリばかりがいるコロニーと、働き度合いがバラバラなコロニーを比較。すると、勤勉なアリだけのケースでは、いっせいに疲労がピークに達するため、コロニーが滅びてしまうのが早く、働かないアリがいるほうが長続きする傾向があった。
つまり、働かない働きアリは、勤勉な働きアリが疲れて動けなくなったときに活躍する交代要員として、コロニーには不可欠な存在だったのである。
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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
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