人生100年時代、仕事の引退は80代、と言われるようになっている現代において、私たちに求められているのは「どれほど個人の市場価値を上げられるか」ということ。ではどうすれば個人の市場価値は上げられるのでしょうか?その答えは「独学」にありました。
本書『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』は、今日から始められる「独学」の勉強法を集めた最強の独学メソッド本。独学への不安を払しょくし、新たな可能性を見出す手がかりがここに!
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急速な技術進歩でディスラプターが登場する
なぜ勉強を続ける必要があるのか?
それは、世の中が変わるからだ。しばしば「再教育が必要」と言われる。勉強を続けていなければ、世の中から遅れていくのだ。
『鏡の国のアリス』で、赤の女王は、「あるところに留まるには、走り続けなければならない」と言う。これを聞いたアリスは、「変なことを言う」と思うのだが、いまの世の中は、実際にそのようなものになった。
なぜ世の中が変わるのか?それは、技術進歩が加速化するからだ。とくに、ITによって、経済社会は大きく変わり、これからも変わり続ける。これまであまり技術進歩の影響を受けなかった金融部門も、フィンテック(ITを応用した金融サービス)によって大きく変わろうとしている。いま、産業革命と似た変化が起ころうとしているのである。
このため、学校時代に習ったことは、あっという間に陳腐化する。新しい技術の中にはディスラプター(破壊者)も多い。これまでやっていた仕事が、技術進歩によって消滅してしまうのである。こうして、自分自身を教育し直すことが必要になる。
社会の変化が急速になると、勉強し続けていないかぎり社会の変化についていくことができなくなる。そのためには、独学しか方法がない。他方で、情報技術の発展によってさまざまな手段が使えるようになったので、独学のための環境は大きく改善された。技術の進歩は、独学の必要性を高めると同時に、他方において、独学を容易にしているのだ。いま、「学ぶ」ということに関して、条件が大きく転換している。
変化はチャンスを意味する
他方において、適切に対処すれば、現在の状況は大きなチャンスに転換しうる。変化が激しいとは、新しいフロンティアが広がるということだ。そこにはまだ誰も手をつけていないので、思うがままの発展をすることができる。社会が大きく変われば、新しいチャンスが生じる。それを捉えることができれば、新しい成長ができる。
日本では、第二次世界大戦終戦後に、こうした時代が到来した。ソニーやホンダなどの新しい企業が登場し、目覚ましい成長を実現した。世界では、いま情報関連の技術によって、新しいフロンティアが開けつつある。それを捉えることが必要だ。高度サービス産業で重要なのは、個人の独創性を引き出せるような労働環境だ。それは、創造性から生み出される革新が、きわめて大きな利益と成長をもたらすからである。
アップルは、iPhoneという1つの非常に革新的な製品によって、これだけの成長を遂げた。グーグルの場合も、その成長の基盤にあるのは、優れた検索エンジンだ。フェイスブックでは、新しい形態の社会的な交流の仕組みの創設だ。ごく少数の人間の革新的なアイデアが、現代のリーディング産業を作っているのである。このため、アメリカをリードするハイテク企業は、さまざまな工夫をして、個人の創造性を引き出そうとしている。
現代の世界をリードしている企業は、いずれもアイデアとイノベーションによって成長している。それは、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と言われるアメリカの先端企業で顕著だが、それだけではない。例えば、中国のアリババもそうだ。以上をまとめると、図表4-1のようになる。