気仙沼大島での出会いと続く交流...竹下景子さん「おかえりモネ」出演は「運命のように思いました」

1973年にNHK銀河テレビ小説「波の塔」で本格デビューして以来、映画『男はつらいよ』ではマドンナ役を3度務め、『学校』では第17回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞するなど、女優として確固たる地位を築いてきた竹下景子さん。出演5作目となる連続テレビ小説「おかえりモネ」がスタートする中、竹下さんに日々の生活についてお話を伺いました。

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今回の役には運命を感じます

──連続テレビ小説出演5作目となる「おかえりモネ」がスタートしました。竹下さんは主人公の祖母役そして語りをされていますが、舞台の一つになっている気仙沼とは不思議なご縁があるそうですね。

そうなんです。

たまたまなんですけど、震災以前に1度旅番組のロケで気仙沼を訪れたことがあって、"気仙沼大島"という、緑の真珠と呼ばれるきれいな島にも行きました。

そのときに寿(す)ん子さんという当時80歳のおばあちゃまと知り合って、でも、震災後なかなか連絡がとれなかったんです。

そして2011年10月に報道番組のロケでまた気仙沼に行くことになったんですが、なんと出発の前日に寿ん子さんからお手紙がきたんです。

大島の仮設にいます、と。

これは会いに行かずにはいられない!ということで報道番組のスタッフさんに、寿ん子さんに会いたいです、とお願いをしたら、「それも番組としてロケしましょう」って言ってくれたんです。

ロケの合間、急きょフェリーに乗って大島に行き、再会したときは「良かった!」と思わず抱き合いました。

そこから寿ん子さんとは電話やお手紙でやりとりを続けていたところ、ドラマのお話が決まったんです。

これはもう、私がやるおばあさんの役は寿ん子さんに違いないって、運命のように思いましたね。

台本を読むと、私は雅代さんっていう役なんですけど、寿ん子さんの声が聞こえてくるんですよね。

だから、こういう優しい土地の人の声でセリフを言いたいなと思って。

語りもさせていただけるので、スタッフさんたちとも相談して、セリフ以外の語りの部分でも、優しいまあるい言葉のニュアンスを大事にしています。

──気仙沼を訪れて復興は進んでいると感じましたか?

震災の年に訪れたときはまだまだ港は地盤沈下したまま、建物もなぎ倒されたように何もない状態で、それと比べれば護岸工事も進んで随分変わったな、復興が進んでいるなっていう第一印象ではあります。

ただ、本当に復興が終わったかっていうと、まだまだ道半ばというのはあります。

土地の方とお話をすると、余計に感じますね。

でも東北の方って本当にがまん強いし、周りにあまり言わないけど、だからこそ強さも感じるし、他者に優しいし、そういうところがドラマを通じても伝えられるといいなと思います。

──主人公のモネは頑張り屋さんだけど不器用な女の子ですが、祖母としてどのような気持ちになりますか。

そういう子は余計に愛おしいですよね。

おばあちゃんとしてはこうすればいいんじゃないか、ということは言わないで、あくまでも優しく優しく「そうね、そうね」って言いながら「いいんだよ、そのままで」って見守っている感じですね。

モネちゃんを演じる清原果耶さんがとてもすてきなんです。

芯があるというか、繊細な中にすっくとしたところがあるので、そこが魅力ですね。

──おばあちゃんと母親とでは、やはりとらえ方は変わってきますか?

実際にはまだ孫はいないので、あまり現実的には考えられませんが、一昨年に撮影をしたNHKのドラマ「70才、初めて産みますセブンティウイザン。」で、新生児から5歳までのお子さんとお仕事をさせてもらったんです。

そこで幼子といる時間がどんなに美しくて幸せな時間かということを追体験したので、近くに幼子がいる生活はいいなって思いますね。

いてくれることに感謝みたいな、そういうことかな、孫ってね。

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お家時間がいまいちばん大切な時間

──ご自身は2歳違いの男の子2人を育ててこられましたが、お仕事をされながら大変だったのではないですか。

だいたいどっちかが泣いていましたよね。

でも、私も夫も不規則な仕事をしていますので、家でずっと見てくれるお手伝いさんにとても助けられました。

あるとき、仕事から帰ったら家が真っ暗でシーンとしていて、そうしたらキッチンでお手伝いさんが3歳ぐらいの長男と乳飲み子の次男を抱えて壁にもたれて寝てたんですね。

2人とも涙と鼻水で顔がぐっしょぐしょで。

それを見た途端号泣でした、私。

ありがたくって。

子どもたちは本当のおばあちゃんのように接していましたし、私には年の離れたお姉さんのような感じで、いつも励ましてもらっていました。

いまでもプライベートなお付き合いが続いていますが、本当にいい方と知り合えたと思います。

おかげ様でうちの子どもたちも寂しい思いをせず健康に育ちました。

──お子さんが独立されて生活は変わりましたか?

家の中が広くなったり、お掃除や洗濯も楽になりましたが、夫との関係性はあまり変わったようには思いませんね。

食べたい時間に食べればいいし、軽く晩酌だけで終えたりと、そういったところは気ままになりましたね、以前より一層。

だからいま家にいる時間が一番リフレッシュできるし、大切にしています。

家族と過ごす時間だったりそれこそ生き物との時間だったり。

長男が置いていったウズラと犬がいるんです。

ウズラはオスなので時を告げるんですね「ギョエギョエギョエー」って。

それがもうすごい鳴き声なんですけど、ついて歩くようになってかわいくて。

犬はいま19歳で歩けなくなったので、犬専用のバギーに乗せてお散歩に行くのが楽しいです。

それと小さい庭ですけど、花が咲いたり、エサを出しておくと野鳥がくるので、それが楽しみです。

コケも結構好きですね。

ルーペで見てみると小さなコケでも北欧の森林を見ているような気分になれますよ。

庭いじりは夫の領分なので、私は水やりぐらいしかしませんが......。

うちの人は本当に花でも動物でも人でもよくあんなにまんべんなく愛情が注げるなっていうぐらい。

私は「きれいに咲いたー、ありがと~」って言ってあとはまかせちゃうんですけど。

困ったときには誰かに助けてもらう

──ご夫婦の間では役割分担など決まっているのですか。

お互いがやれることをやるっていう、それは結婚したときから変わらないです。

ルールを決めてしまうとちょっと義務感が強くなるので、「どうしようか」とお互いに言いながらやってますかね。

2人ともずっと仕事をしてきたので、自然とそういう感じに。

私がいなければ夫の負担がちょっとだけ増えますが、いまはお手伝いさんがいますので「ヘルプ!」って言えば何でもしてくれますので(笑)。

──頼れる人がいるというのは心強いですね。

基本みなさん自分のことは自分で責任をもってするというところからスタートしますよね。

そのことで息苦しくなってしまうと世の中が息苦しいから本当につらくなってしまうと思うんですよね。

私は子育て中からいまにいたるまで、困ったときにはお手伝いさんや夫、事務所のスタッフ、ママ友と色んな方に助けてもらいながらどうにかやってきました。

だからあまり無理をせず助けてくれる人を、できれば多く作っておくのは大事だと思います。

いざというときのために。

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取材・文/山城文子 撮影/下林彩子

 

俳優
竹下景子(たけした・けいこ)さん
1953年、愛知県名古屋市生まれ。東京女子大学卒。NHK「中学生群像」出演を経て、1973年NHK銀河テレビ小説「波の塔」で本格デビュー。映画『男はつらいよ』のマドンナ役を3度務め、『学校』では第17回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。主演舞台「続・まるは食堂」(6月16日〈水〉~20日〈日〉東京芸術劇場シアターウエスト)が上演予定。

連続テレビ小説

『おかえりモネ』

月曜~土曜 8:00~8:15他 
※土曜日は1週間を振り返ります
作:安達奈緒子 語り:竹下景子
出演:清原果耶 鈴木京香 坂口健太郎 永瀬 廉 蒔田彩珠 浜野謙太 浅野忠信 
西島秀俊 藤 竜也 夏木マリ 内野聖陽 他
気仙沼に生まれ、登米で青春を過ごす百音。気象予報士の資格をとり、飛び込みで入社した気象予報会社で経験を積んだ後、大型台風が全国を直撃すると、百音は何とか故郷の役に立てないかと気仙沼へ向かう決意をする。

この記事は『毎日が発見』2021年6月号に掲載の情報です。

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