茅葺屋根に井戸水...福岡・能古島の名物おばあちゃんが守る「昔ながらの暮らし」

いまは亡きご主人・耕作さんと、1年中花の絶えない自然公園「のこのしまアイランドパーク」を造り上げた久保田睦子さん。

広大な土地に花を咲かせ、野菜を育てて、嫁いだときから変わらない昔懐かしい暮らしを続けています。

「幸せは自分の心で決める」と話すその大きな笑顔は、園内で咲き誇る花と同じ。

全国から訪れる大勢の人を癒して止みません。

茅葺屋根に井戸水...福岡・能古島の名物おばあちゃんが守る「昔ながらの暮らし」 1912p113_01.jpgそんな睦子さんが暮らす家は、昔ながらの茅葺屋根。

大勢のお客さまが訪れる「のこのしまアイランドパーク」の中にあります。

「お嫁に来たときから、60年以上ずっとこの家たい。庭にあるお井戸さんから水も引いとる」

どんなに時代が進んでも、この暮らし方を変えずにきました。

茅葺屋根に井戸水...福岡・能古島の名物おばあちゃんが守る「昔ながらの暮らし」 1912p113_02.jpg「のこのしまアイランドパーク」が開園する1969年以前の能古島の景色。いまは亡きご主人・耕作さんと睦子さんの夢は、ここから始まった。

「主人が子どものころは、能古島には電気も通じていなかったと。戦時中は運動靴さえ配給制やったから、2足の運動靴を大勢の子どもたちでくじ引き。当たらなければ、裸足で山を駆け回って遊んどった。そん時代のことを思えば、不便どころかありがたか。大事にせなあかん」

園内のレストランで出た野菜くずなどを飼っているやぎや鶏にあげるのも、無駄を出さず、ごみを減らしたいという思いから。

「喜んで食べてくれるとよー」

そう話す睦子さんは、満面の笑み。

おおらかさと明るさにつられて、こちらも頰が緩みます。

「最期にいい人生やったと言い切れるように、どんなときでも前向きにおりたいね」

芋畑だった5haの土地を花いっぱいにするまでには多くの苦労があたことでしょう。

それでも諦めずにここまでこられたのも、ご主人を励ますこの笑顔があったからです。

「爪の垢ほどでもいいとこを探して、口に出す。そうしとったらみんな笑って幸せが来る。何のために年とったかちゅうと、それを知るためかもしらんね」

笑顔はキャッチボール。
あげた分だけ返ってくると

心はお金で手に入らん。
人のいいとこ探して、
大きな声で褒めたらよか。
うれしい気持ちが笑顔のもとや


茅葺屋根に井戸水...福岡・能古島の名物おばあちゃんが守る「昔ながらの暮らし」 1912p112_04.jpg園内のお地蔵様。集まった賽銭は能古島の保育園や小学校に寄付をする。

茅葺屋根に井戸水...福岡・能古島の名物おばあちゃんが守る「昔ながらの暮らし」 1912p112_05.jpg睦子さんが暮らす、思い出の詰まった茅葺の家。

茅葺屋根に井戸水...福岡・能古島の名物おばあちゃんが守る「昔ながらの暮らし」 1912p112_06.jpg園内にある、駄菓子や昔のおもちゃを扱う店「思ひ出や」には、手作りのお手玉も。

のこのしまアイランドパーク

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住所:福岡県福岡市西区能古島 
電話:092-881-2494

料金:大人1200円 
営業時間:9:00~17:30(平日)、9:00~18:30(日・祝日。冬季は平日と同じ) 
定休:なし
アクセス:福岡市営地下鉄空港線 福岡空港駅~姪浜駅(約25分)下車。西鉄バスに乗り換え「姪浜駅北口」~「能古渡船場」(約15分)下車。フェリーに乗り換え、姪浜港~能古港下船。西鉄バスに乗り換え、アイランドパークへ(約13分)
*行き方は複数ありますので、あらかじめご確認ください。
*レストランやバーベキュー場、コテージもあります。島内にはキャンプ村、海水浴場も。

 

久保田睦子(くぼた・むつこ)さん

1938年、福岡県久留米市生まれ。19歳で夫・耕作さんのもとに嫁ぎ、能古島に移住。二人三脚で「のこのしまアイランドパーク」の花畑を造り上げた。いまも毎日花畑に立ち、大勢のお客さまを迎えている。

この記事は『毎日が発見』2019年12月号に掲載の情報です。

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