「人々を花で癒やしたい」。一途にそう願い、福岡県の博多湾に浮かぶ能古島に花畑を造った久保田睦子さん、81歳。畑では野菜も育て、ほぼ自給自足の暮らしをしています。
花畑の裏側にある畑にて。
手ぬぐいを姉さん被りにして農作業をするのが、睦子さんの毎朝の日課。
おてんと様のおかげです
睦子さんが亡きご主人と造り上げた「のこのしまアイランドパーク」は、四季を通して花が絶えない15haもの自然公園。大勢のお客様を迎えるその花畑は、みんなが知る表舞台です。
ですが、実はもう一つ、大切にしている場所が。
花畑に隣接する野菜畑です。
毎朝、ご主人の妹さんたちと一緒に土を踏み、汗を流すのが日課だそうです。
「大根やら、白菜やら、なんかかんか作って、自分で食べられるちゅうのは幸せやね。3人でいっつもグルメしとる(笑)。ほら、これが今日のお昼たい」
そう言って、収穫した野菜をたくさん使ったお弁当も見せてくれました。たくあんにした大根も、塩もみしたキャベツも、牛肉と炒めた玉ねぎも、みんな睦子さんの自家製です。
睦子さんのお弁当。お総菜に使ってるのは、自分で育てた野菜は大根、キャベツ、玉ねぎ。
野菜はまた、園内のレストランで出すメニューの素材にもなります。量が必要ですから、玉ねぎなら何万本もの苗を植えるそう。農作業は大変なのでは?
「晴れた日は、おてんと様が体を消毒してくれる。元気でいられるのはそのおかげと思うとるんよ。ありがたか」
大変さを口にするどころか、返ってきたのは感謝の言葉。
「春に公園の桜が咲いて、秋になって葉が落ちたら、それを全部集めて堆肥にすると。できた堆肥は花の苗の周りや、野菜作りの土に入れるんよ。植物の命には終わりがなくて、捨てるもんもなくて、全て人のためになってくれよる。えらかなあと頭が下がります」
植物の生き方を、友達の話をするように聞かせてくれました。
義理の妹・ミサ子さん(右)、トミ子さん(中)と一緒に
■花咲かおばあちゃん・久保田睦子さんのことば
「花も野菜も、すぐ結果は出やせん。年月がかかると。人も踏ん張らな」
「植物は、花で人を喜ばせ、葉は堆肥になって土を肥やす...。なんもかんも役に立ちよる。私も努力せなあかんね」
のこのしまアイランドパーク。10~11月はコスモスが満開。
南国の赤い花・デイゴは温暖な福岡ならでは。
黄色いマーガレットも。
のこのしまアイランドパーク
住所:福岡県福岡市西区能古島
電話:092-881-2494
料金:大人1200円
営業時間:9:00~17:30(平日)、9:00~18:30(日・祝日。冬季は平日と同じ)
定休:なし
アクセス:福岡市営地下鉄空港線 福岡空港駅~姪浜駅(約25分)下車。西鉄バスに乗り換え「姪浜駅北口」~「能古渡船場」(約15分)下車。フェリーに乗り換え、姪浜港~能古港下船。西鉄バスに乗り換え、アイランドパークへ(約13分)
*行き方は複数ありますので、あらかじめご確認ください。
*レストランやバーベキュー場、コテージもあります