ぽっちゃりは可愛いけど...。病気にもつながる「猫の肥満」をチェックして!/家ねこ大全(35)

「いまの鳴き声はどんな意味?」「なんでいつも、ごはんをちょっとだけ残すの?」など、猫の行動にはミステリアスなところがたくさんありますよね。そこで、SNSで人気の獣医師・藤井康一さんの著書『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』(KADOKAWA)より、フードやトイレなど暮らしのコツや、不調や病気に関する医療情報など、猫についての最新情報をご紹介します。

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Q.猫の平均体重を知りたい!

A.理想体重は3~5kg。15%以上増えるとほぼ肥満です


猫の成長は6か月齢から12か月齢で止まります。

よって約1歳のときの体重が適正体重(標準体型の場合。やせていたら1.2倍にした体重)となり、なるべくその体重を維持することが猫の健康につながります。

ちなみに、品種や体格によって個体差があるので一概には言えませんが、成猫の理想体重は3~5kgとされています(たとえばサイベリアンなど体格の大きな品種では8kgが理想)。

そこから15~20%増えるとほぼ肥満と考えるとよいでしょう。

ぽっちゃりとした猫は見た目にはまるまるとしてかわいいので、飼い主さんも危機感を持ちにくいかもしれません。

ですが、猫の肥満は人間と同じく病気のリスクになります。

糖尿病に脂肪肝、がん、関節痛、泌尿器疾患(膀胱炎や尿道閉塞、尿管結石など)、じつは皮膚トラブルも起こしやすくなるのです。

飼い猫とずっと一緒に過ごすために、まずは「猫の肥満は万病の元」と認識することです。

飼い猫が太っているならダイエットを始めましょう。


Q.やっぱり太ってると病気になりやすい?

A.肥満を改善するだけで治る病気もあります


肥満を解消することで、猫の病気が劇的に改善した例があります。

ある猫が体重10kgから7kgまでダイエットしたところ、何度もくり返し発症していた膀胱炎の再発がなくなりました。

とくに泌尿器疾患はダイエットにより症状が改善することがこれまでの診療結果で明らかになっています。

私がアメリカで学んだ1980年代、現地にはまるまると太った猫が多く、「アメリカは猫まで太っているのだな」と思ったものです。

当時、アメリカ人の肥満問題が日本でも注目されていたのです。

そして、現地では完全室内飼育されていました。

その後、日本の猫も完全室内飼育がスタンダードになり、猫の肥満が増えています。

室内で飼ってきていると運動量が減ってしまうのも原因のひとつです。


Q.うちの子やせてる?太ってる?

A.専門知識は必要なし。飼い主さんの手だけでできる体型チェックをしてみましょう


やせてる、太ってるといった猫の体型を調べる方法にボディコンディションスコア( Body Condition Score )がありますが、じつは飼い主さんの「手」だけで判断できるもっと簡単な方法があります。

やり方を紹介します。

① 猫の肋骨(ろっこつ)を触る
② ①の感触と自分の手を比較する

●手の甲の感触と同じ...
ちょうどいい普通体型。手の甲には少しばかり骨の存在を感じますよね。そのぐらいの触り心地が理想的。

●手をグーにしてこぶしの出っぱっているところを触った感触と同じ...
骨がゴツゴツしていますよね。その感触と同じ触り心地ならばやせ気味です。

●手のひらの感触と同じ、またはそれ以上にやわらかい...
太りぎみ。手のひらはぷにぷにしています。つまり肥満ということです。

飼い主さんの手のかたちによって多少の誤差はありますが、データ表も必要なく、自分の手さえあればどこでもチェックできます。

ぜひ毎日の習慣にしてみてくださいね。

イラスト/柴田ケイコ

ほかにも書籍では、フードやトイレなどの「猫との暮らしのコツ」や、不調や病気に関する「医療情報」など、猫に関する285の最新情報が分かりやすく解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『家ねこ大全285』記事リスト

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藤井康一(ふじい・こういち)
藤井動物病院院長、獣医師、獣医学修士、博士(学術)、経営管理修士。2011年にツイッターを開始。多くの飼い主さんに「こんなことに注意をしてもらえれば」という現役獣医師ならではの最新情報を発信したところ、「困っていたときに役立った」と評判に。フォロワーは5万人超える(2020年7月現在)。

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『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』

(藤井康一/KADOKAWA)

猫好きの方は、大好きだからこそ猫のミステリアスな部分をもっと知りたいですよね。さまざまな行動が意味する猫の気持ちや不調のサインなどをSNS上で人気No.1の獣医さんが解説しています。ちょっとした豆知識から、近年注目されている「猫のうつ」など最新の病気の治療まで、猫のことがすべてわかる一冊です!

※この記事は『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』(藤井康一/KADOKAWA)からの抜粋です。

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