え?「悪態をつくと、寿命が延びる」って本当ですか!?

「年を取ると時間が早い」「写真の自分の顔に違和感がある」など、私たちの暮らしの中で感じるちょっとした不思議、実は科学で解明されているものも多いそうです。そこで、世界600万人が支持したニューヨークタイムズベストセラー『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』(文響社)から厳選し、誰かに伝えたくなる「科学の雑学」を連載形式でお届けします。

え?「悪態をつくと、寿命が延びる」って本当ですか!? 033-008-168.jpg

「くそっ、まじかよ!」悪態をつくと寿命が延びる!?

どうしてわれわれはつい悪態をついたり、汚い言葉で話してしまうのだろう?

無意識のうちに口をついて出るときもあれば、意識的に大声で口にしているときもある。生物学的に見て、悪態をつくのに何か目的はあるのだろうか?あるいは、これってやはり、ただの「やってはいけない」ことなのだろうか?

一般的に言って、汚い言葉を使うのは「いけないこと」「社会の害になること」と考えられている。しかしながら科学的に言うと、ある特別な状況下ならば、悪態をつくのもいいことだと考えられている。

多くの人が悪態をつくのが、肉体的に傷つけられたときだ。

そのことを踏まえた科学者たちは「ヒトが悪態をつくのには、根本的な理由があるのではないか?」という前提で、さまざまな実験をおこなった。そして結果的に、「ヒトは痛みを調整するために悪態をつく」という結論に達したのだ。

ひとつ、面白い実験を紹介したい。

この実験では、科学者たちが大学生をふたつのグループにわけ、凍りつくような冷水にどれだけ長く手をつけていられるか計測をした。

ひとつめのグループはののしり言葉をいくらでも口にしてもいいことにし、もうひとつのグループはののしり言葉を一切使用禁止にした。

結果として、前者のほうが後者よりも手に痛みを感じることがなく、しかも40秒(!)も長く冷水に手をつけていられたのだ。

科学者たちはこれを、ののしり言葉が感情に関連する脳回路を刺激したからではないかと考えている。

一般的な日常言語は、われわれの左脳にある言語中枢が司っている。

しかし、ののしり言葉は、右脳にある感情を司るへんとう体を刺激したため、「痛み」や「辛い」という感情をうまくまぎらわせたというのである。

こういった防衛反射は、多くの動物にも見られる。

動物も脅威を感じた相手に対して怒ったような鳴き声をあげる。たとえば、ネコの尻尾を踏んだとき、大きな悲鳴のような声で威嚇された経験がないだろうか?

これも似たような原理だ。

え?「悪態をつくと、寿命が延びる」って本当ですか!? 033-008-171.jpg

また、われわれは感情的になると、普段「禁句」とされている言葉を使うことで、自分をより強く大きいものとして感じることができるようになるという。

とはいえ、汚い言葉をじゃんじゃん吐けばいいというわけではない。むしろ悪態をつきすぎると、痛みを調整する効果がどんどん薄れてしまい、さらにムカムカした気分になる。

悪態によってストレスによるダメージを回避することはできる。結果、寿命が延びる可能性も高い。ただ、恨みを買うこともある。悪態のつきすぎには気をつけてほしい。

日常の不思議が科学で解決!「いきなりサイエンス」記事リストはこちら!

え?「悪態をつくと、寿命が延びる」って本当ですか!? 033-syoei-ikinarisaiensu.jpg「感覚」「体」「心」など5つテーマで、37の疑問を科学的に解説。理系が苦手でも、クスッと笑えます

 

ミッチェル・モフィット/グレッグ・ブラウン

カナダ在住。さまざまな現象を科学的に解明するYoutubeの人気番組『Asap SCIENCE』の創設者。チャネル登録者数は800万人以上。2015年に配信された「このドレスの本当の色は?!」という、色覚の不思議を扱った動画は、ネットを中心に話題となって2000万回以上も再生された。

shoei.jpg

『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』

(ミッチェル・モフィット、グレッグ・ブラウン/文響社)

「年を取ると時間が早い理由」「かき氷がキーンとする仕組み」「出産VS股間キック、痛いのどっち?」など、難しい解説一切なしの科学雑学本。37の科学ネタを読んだ瞬間、きっと誰かに教えたくなる、世界600万人が支持したニューヨークタイムズベストセラーです!

※この記事は『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』(ミッチェル・モフィット、グレッグ・ブラウン/文響社)からの抜粋です。
PAGE TOP