「"昭和歌謡"は人の生涯の一部でした」と話す歌手・三田明さん。デビュー56年目を迎える三田さんに、昭和歌謡の魅力と、今でも元気に舞台に立つその秘訣について教えていただきました。
三田明さんのデビュー曲「美しい十代」は、いまでも多くの人に愛され、歌われています。
「たくさんの方に聞いていただける曲に出会えたことは、感謝の気持ちでいっぱいです。もしカラオケで歌う場合は、1人で歌うより、みんなで合唱する方が盛り上がる曲だと思います」
5月30日(木)に開催される「永遠の昭和ヒット歌謡オンステージ」でも、「美しい十代」が披露される予定なのだそうです。
「ぜひ皆さんに口ずさんでいただきたいですね。今回のステージは全て昭和40年代の懐かしい曲で構成されます。昭和歌謡は、当時の若者やさまざまな人の生活を支えたり、元気を与える存在だったと思います。就職列車(※)の時代で、ふるさとから上京した若者にとっては、みんなで昭和歌謡を歌うことが青春でしたからね」
※就職列車は「集団就職」のことで、日本の高度成長期に盛んに行われた、農村から都市部への大規模な就職運動のこと
自身の曲以外にも、懐かしい名曲がたくさん披露されます。
「その人の名義で売れた曲は、その本人が歌わないといけないと思うので気を使いますね。自分が歌うことでイメージが変わることも怖いですし、期待されているイメージを大事にしないといけないので」
とはいえ、ご自身のプライベートな時間ではカラオケに行く機会も多いのだそうです。
「高木ブーちゃんがカラオケが大好きで、一緒に飲みに行くと必ずカラオケに行っていました。歌を聴いて喜んでもらえることがうれしくて、自分でも根っから歌が好きなんだなと実感することがあります。カラオケでは自分の曲を歌うと疲れるので、人の曲を歌います(笑)。僕たちの世代もそうですが、曲を聴くことに飽きてしまって、テレビの普及と同時に、自分で歌うことが普通になってきています。日本のみならず世界でも"カラオケ"が浸透していますし、プロじゃなくても歌える場は広がっていますよね」
ずっと歌っていても苦ではないと話す三田さん。喉のケアや体力維持のために、何かされているのでしょうか?
「決まったことは特にやっていません。もともと野球をやっていたので、いまでもたまに草野球をしたり、自宅に運動器具を置いているので体力が落ちないようにたまに体を動かしています。最近は歩くことを意識しています。近所をただ歩くだけでも、いろんな発見があるのでいいですね。坂も多いですが、ちょうどいい運動です。喉のケアは自宅で加湿器をつけていることと、寝るときにマスクを着けています。息が苦しくなってしまわないよう、ハサミで小さな穴を開けておくといいですよ」
自分の年齢や体力を自覚! 「好きなこと」はガマンしない
「これまで特に大きなケガなどはないのですが、草野球の試合に寝坊で遅刻しかけたことがあって、会場に行って準備体操もせずに走って肉離れを起こしたことがあります。そのときはさすがに仕事にも支障が出て、準備体操の大切さを実感しました。自分の年齢や体力を自覚することは大切ですよね。昔は平気でできたことも、いまではできないなんてことはざらです。自分のことを理解した上で、なんでも挑戦していきたいですね」
コンサートの出演時にもストレッチは欠かさないといいます。
「発声とストレッチは大切ですね。コンサート終わりは、お酒を飲んでリフレッシュすることが多いです。歌った後は喉が熱いので、冷たいビールが染みておいしいんです! 次の日が仕事のときは控えるようにしていますが、お酒が好きなのも健康の証拠かもしれませんね。飲むときにご飯をしっかり食べることも忘れません」
自分の好きなことを無理なく楽しんでいる三田さん。健康にいいことはまず実践して、自分流にアレンジするそうです。最後に、歌が好きな私たち世代へのアドバイスをお願いしました。
「とにかく楽しんで歌うことがいちばん! 最近では笑いながら体操をするなど、何かをしながら何かをするということが認知症予防になるといわれているそうなので、歌いながらより楽しい生活を送りましょう!」
【永遠の昭和ヒット歌謡オンステージ】
昭和40年代を彩った珠玉の名曲ぞろい、青春流行歌がよみがえるライブが開催されます。三田 明さんをはじめ、園まりさん、真木ひでとさん、あべ静江さん、タブレット純さんが出演。
開催日:5月30日(木)
会場:サンシティ越谷市民大ホール
住所:埼玉県越谷市南越谷1-2876-1
時間:昼の部12:00開演/夜の部17:00開演 (開場は各30分前)
料金:全席指定6,000円+税
問い合わせ先:0570-550-799(キョードー東京)
取材・文/栗山春香