2021年の新刊から不朽の名著まで、「毎日が発見」連載陣ら11人が推薦する「年末年始に読みたい良書33選」。今回は TBS「プレバト!!」でおなじみ、多摩美術大学非常勤講師の野村重存さんが薦める「芸術に触れたくなる本3選」をご紹介します。
【前回】作家、ドイツ文学者の中野京子さんが薦める年末年始に読みたい「視野を広げてくれる本」3選
【最初から読む】医師、作家の鎌田 實さんが薦める年末年始に読みたい「生き方を見つめなおせる本」3選
野村重存さんが薦める「芸術に触れたくなる本」
(1)『男鹿和雄画集( ジブリTHE ARTシリーズ)』
男鹿和雄/著 徳間書店 3,080円(税込)
スタジオジブリ映画ファン必携!
(2)『アンドリュー・ワイエス作品集』
高橋秀治/著 東京美術 3,520円(税込)
(3)『山と水の画家 吉田博』
安永幸一/著 弦書房 2,310円(税込)
(1)は、「ジブリの絵職人」として広く知られる男鹿和雄さん(1952年~)の作品集(続編のⅡもある)。
数々の名シーンが掲載されているほか、制作プロセスや男鹿さんの絵に対する思いまで知ることができます。
表現作品としての絵ではなく、必要とされる絵を描く、まさに「絵職人」の矜持が示されている一冊。
私が尊敬し憧れる「絵を描くプロ」のひとりです。
(2)は、20世紀絵画における巨匠、アンドリュー・ワイエス(1917~2009年、米)の作品集。
世界中で認められ愛された画家の代表的な作品を概観でき、その絵が描かれた背景にも触れられる一冊。
ページをめくりながら作品世界に浸るうち、人の一生や友人、家族の物語を辿る、壮大な映画を見ているような錯覚を覚えます。
(3)は、明治大正期に欧米で高く評価され最も成功した画家でありながら、日本ではあまり知られることがなかった風景画家、吉田博(1876~1950年)の評伝。
油彩、水彩の作品を数多く残し、戦後は木版画家としても精力的に活躍しました。
吉田博研究の第一人者による渾身の一冊は、吉田博の画業と人生を、豊富な図版とともに、ダイナミックに紹介しています。
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美)