最初は皮膚にピリピリ、チクチクと痛みを感じ、その後に疱疹が現れます/帯状疱疹

pixta_22606291_S.jpgある日、頭や背中、わき腹などの、体の左右どちらかの皮膚にピリピリした痛みを感じた後、赤い班や小水疱(水ぶくれ)が出てきた...急にそんな症状が出現したら戸惑うものです。実は、これが帯状疱疹(たいじょうほうしん)の典型的な症状。加齢や過労、病気、旅行に出かけて疲れがたまった時などに、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが再び活動し始めて起きる病気です。帯状疱疹の特徴や治療法、後遺症、他の病気との見分け方などについて、宇野皮膚科医院院長の漆畑先生にお話を聞きました。

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最初の痛みだけではほとんどの場合、帯状疱疹だと気づかない

帯状疱疹の初期症状は、疱疹が出る前触れとして、患部に"ピリピリ""チクチク"とした痛みや違和感が出ることは前の記事で触れました。切り傷や打撲などの痛みとは違って、神経の痛みなので「ピリピリして痛い」「チクチクとした違和感」「突き刺すような鋭い痛み」など、人によって感じ方はさまざまです。

疱疹が出る前の痛みを「前駆痛(ぜんくつう)」といいます。疱疹が現れる前から、皮膚の下ではすでにウイルスが増殖していて、神経や皮膚組織が傷つけられています。そのため、疱疹ができるよりも先に痛みを感じるのです。

前駆痛は皮膚に疱疹が現れる数日から1週間ほど前に自覚し始めることが多いようです。しかしこれもさまざまで、2週間以上前から前駆痛を感じる人もいれば、その一方で、前駆痛が全くない人もいます。帯状疱疹の初期症状は個人差が大きいのです。

何らかの「痛み」を感じていても、それが帯状疱疹の前駆痛だとは気付かないため、この段階で病院を受診する人はほとんどいません。それどころか、腰の痛みだと思って整形外科に行く人も少なくないのです。疱疹が出てから帯状疱疹だと気が付いて、ようやく皮膚科を受診するケースがほとんどだといえます。

一般的には前駆痛が数日続いたあと、疱疹が体の左右どちらか片側に発生します。胸や腹部、頭や顔に現れることが多く、神経に沿って左右どちらか片側に、帯のように増えていきます。これは神経に沿ってウイルスが神経を傷つけながら皮膚の表面まで到達して、皮膚に炎症をもたらすからです。「痛み」についても、疱疹が出る前の前駆痛から「急性痛」に名前が変わりますが、どちらも急性期の炎症性の痛みです。

疱疹が出てからの「急性痛」は、人によっては前駆痛と比べてかなりの激痛になる場合があります。これはウイルスが増殖して、神経や皮膚組織の炎症が強くなり、神経の破壊も始まりつつあるためです。

「ウイルスが多ければ症状が強く出るため、痛みも強く出ます。また、ウイルスを殺そうとする体の炎症反応が強い場合も、痛みが強く出ます。場所によっても痛みの強さは異なり、首から上の三叉神経(顔面の知覚や咀嚼運動を司る神経)領域の部分は症状が強く出ることが多いといえます。日に焼けると皮膚の免疫力が下がるため、帯状疱疹にかかりやすくなります。首から上は特に、日焼けに注意した方がいいでしょう」と漆畑先生。

痛みのピークは、若年者では皮膚の症状が出てから10日目前後。その後、疱疹が治るとともに痛みも消えていくのですが、皮膚症状が回復しても痛みだけが残るケースもあります。これを「疱疹後神経痛」あるいは「慢性痛」と呼びます。

 

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取材・文/松澤ゆかり

<教えてくれた人>
漆畑 修(うるしばた・おさむ)先生

東邦大学医学部卒業後、東邦大学医学部大橋病院皮膚科部長、東邦大学医学部客員教授などを経て2007年に宇野皮膚科医院(東京都世田谷区北沢)院長に就任。医学博士、皮膚科専門医、抗加齢(アンチエイジング)医学専門医、温泉療法医、サプリメントアドバイザー。著書に『痛みを残さない帯状疱疹 再発させない単純ヘルペス』(メディカルトリビューン)、『帯状疱疹と単純ヘルペスの診療』(メディカルレビュー社)などがある。

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