胃を切除した人へ。食後の不快な「ダンピング症候群」は食事療法で治す/やさしい家庭の医学

pixta_37514427_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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胃の切除で起こるさまざまな症状

「ダンピング症候群」

●まずは食事回数を増やして対処

胃を切除したあとに起こるさまざまな症状をまとめて「胃切除後症候群」と呼んでいますが、その中の一つに「ダンピング症候群」があります。

ダンピング症候群は、胃の切除によって胃が小さくなったため、摂取した食べ物が短時間で小腸に送られることによって起こる症状で、食後に多くの不快な症状となって現れてきます。

ダンピング症候群は、食後30分以内に症状が現れる早期ダンピング症候群と、食後2~3時間後に現れる晩期ダンピング症候群に大別されます。

前者では、全身の倦怠(けんたい)感やめまい、動悸、冷や汗、腹痛、嘔吐(おうと)などが見られますが、これは食べ物が小腸に送られたことによってセロトニンやヒスタミンなどの物質が急激に放出されるため、自律神経の働きが乱れて起こる症状といえます。

一方、後者では、冷や汗や脱力感、めまいなどが見られますが、これは炭水化物が消化されて高血糖状態になり、膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌するのですが、このときはすでに食べ物が胃腸に存在せず、低血糖状態となってしまうために起こる症状と考えられています。

いずれも、胃が通常の大きさよりも小さいことによって引き起こされる症状といえます。

治療方法としては、まず食事療法が挙げられます。胃が切除された状態で小さいわけですから、いままで3回摂(と)っていた量を5~6回に分けるなどして、1回に食べる量を少なくするとよいでしょう。炭水化物は少なめにし、高タンパク、高脂肪の食事内容にした方が望ましいといえます。また、冷た過ぎる食べ物や飲み物は腸を刺激してしまうので控えたほうが賢明です。

食事療法で治らないときは、抗ヒスタミン薬や抗セロトニン薬の服用による薬物療法や、場合によっては胃の再建手術も考えられます。

なお、腹痛などの消化器のみの症状や、急に立ったときに起こる立ちくらみなどの症状のみの場合は、ダンピング症候群とは呼びません。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。


 

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』

(中原英臣[監修]/KADOKAWA)

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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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