子どもやシニアは特に注意。体内で増える「ノロウイルス」/やさしい家庭の医学

pixta_21867712_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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人の小腸粘膜で増殖するウイルス
「ノロウイルス」

●感染経路は、ほとんどが経口感染
とくに冬場、学校や福祉施設などで集団感染が確認される「ノロウイルス」。このウイルスは、いったいどのようなものなのでしょう。

ノロウイルスは小腸粘膜(ねんまく)で増殖するウイルスで、2002年に国際ウイルス学会で命名されたことにより、一般に知られるようになりました。もともとは「SRSV(小型球形ウイルス)」と呼ばれていたウイルスです。ノロウイルスの「ノロ」とは、1968年に発見された地名(アメリカ・オハイオ州ノーウォーク)に由来しています。
 
ノロウイルスの感染経路は、そのほとんどが経口感染です。つまり、ウイルスが付着した飲食物などを摂取(せっしゅ)することにより感染するということです。
 
感染経路は、疫学(えきがく)的な調査により、生ガキが多く関与していると指摘されていますが、学校の給食などでは生ガキが原因ともいえませんので、人から人への二次感染が指摘されています。

感染経路には、主に以下のようなパターンがあります。
(1)患者さんのノロウイルスが大量に含まれる糞便や吐瀉物(としゃぶつ)から人の手を介して二次感染した場合。

(2)せきやくしゃみなど、人から人へ飛沫(まつ)感染する場合。

(3)食べ物を調理する人が感染していた場合、その人を介して汚染された食べ物を口にした場合。
 
そのほか、ノロウイルスに感染した二枚貝を生(あるいは十分に加熱調理しない状態)で食べた場合や、ノロウイルスに汚染された井戸水などを消毒不十分で飲んだ場合にも感染してしまいます。
 
ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎に罹かかると、下痢や腹痛、嘔吐(おうと)などを繰り返すことになります。子どもやお年寄りなどは吐瀉物をのどに詰まらせることも懸念されますので、注意が必要でしょう。
 
2012年度の厚生労働省のデータによりますと、報告された1100件の食中毒のうち、416件がノロウイルスによるものとされています。また、患者数は1万7632人にものぼり、患者数だけで見ると、同年度の食中毒患者の66%がノロウイルスによるものとなっています。

ノロウイルスに罹らないようにするためには、食事の前やトイレの後に必ず手を洗ったり、下痢や嘔吐の症状を持つ人が食事をつくることを控えたり、患者さんの糞便や吐瀉物(しゃぶつ)を適切に処理することなどが挙げられます。また、子どもやお年寄りなど抵抗力が弱い人は、生食を極力控え、十分に加熱したものを食べるようにすることも予防に役立ちます。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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