がんの発生サイン「腫瘍マーカー」。検査結果は慎重に受け止めて/やさしい家庭の医学

pixta_37748532_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

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がんの発生で数値が異常に高くなる物質

「腫瘍マーカー」

●検査結果に一喜一憂しない

がんには、食道がんや肺がん、胃がん、大腸がんなどさまざまな種類がありますが、がんが発生すると血液や尿に含まれる量が異常に高くなる物質があります。このような物質のことを「腫瘍マーカー」と呼んでいます。

腫瘍マーカーが測定されるのは、(1)がんの早期発見、(2)再発の早期発見、(3)治療効果の判定、の三つの場合です。(1)の場合は主に健康診断で行なわれるもので、(2は早期がんの手術後の経過観察において、(3)は進行がんの進行具合を診る場合です。

ですが、腫瘍マーカーの値が上がったり下がったりすること、または陽性に出たからといって、深く悩むのはいかがなものかと思えます。

というのは、多くの腫瘍マーカーは早期がんにおいて上昇することはないとされますので、この意味では、(1)のために測定するのはそもそも意味をなさないことになります。また、がん以外の病気でも腫瘍マーカーが陽性に出ることも少なくありません。重度の肝変(かんこうへん)や劇症肝炎の患者さんであれば、「AFP《α(アルファ)―フェトブロテイン》」という肝臓がんの腫瘍マーカーの数値が高めに出ることもあるためです。

なお、このように、本当はがんではないのに検査で陽性と出てしまうことを「偽(ぎ)陽性」といい、逆に、本当はがんに罹っているのに検査で陰性と出てしまうことを「偽陰性」と呼んでいます。腫瘍マーカーの検査では、先述のように偽陽性と出てしまうこともあります。腫瘍マーカーの検査結果に一喜一憂しないほうがよいというのは、このことにもよります。

だからといって、医師もただ漫然と腫瘍マーカーの検査を患者さんに要請しているわけではありません。腫瘍マーカーによる検査は、そのほかの検査と同様、患者さんの具合を総合的に診断するための一つの材料として行なうものといえるでしょう。

患者さんのほうでも、腫瘍マーカーによる検査を医師から要請された場合は、「なぜその検査が必要なのか?」ということをよく聞いたうえで受けるとよいでしょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。


 

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』

(中原英臣[監修]/KADOKAWA)

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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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