尿漏れや便漏れなどの排泄トラブル。歳だから仕方ない......と後回しにしがちですが、健康で快適な暮らしを送るには避けては通れない問題です。そこで、ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所の梅林真紀さんに現代の排泄事情からケア方法までを伺いました。
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高齢者の肌はデリケート。赤ちゃん同様、お尻の快適&清潔を心がけて
オムツを使っている赤ちゃんのママが一番気を使うのは、お尻のケア。紙パンツタイプやテープ止めタイプを使っている人にも同じことがいえます。高齢者の肌は乾燥しやすくデリケート。特に要介護度の高い人ほど、介護する側が気をつけてあげる必要があります。
「夏場に多い悩みは、ムレやかゆみ、かぶれなど。こうしたスキントラブルから床ずれ(褥瘡-じょくそう)までを防ぐには、肌に尿や便があたる面積をできるだけ少なくすることがポイントです。アウターもパッドもなるべく肌にやさしく薄くて通気性のよいものを選びましょう。ジャストサイズのものは肌にくっつくから、と大きいサイズに変える人もいるようですが、漏れなどのトラブルにつながるためおすすめしません」と、梅林さん。
テープ止めタイプを使っている人でも、自分で座れるようなら、紙パンツタイプに変えてみるという方法も。紙パンツタイプのほうがテープ止めタイプより通気性に優れているからです。
「また、清潔ケアも大切です。高齢になると入浴回数が減ったり、介護度によっては入浴できないことも。紙パンツタイプもテープ止めタイプも交換する際は、大人用のお尻拭きや洗浄液を使って、お尻周りを清潔にしてあげましょう。専用の洗浄液をボトルに入れて使う『ライフリー おしりクリーンシャワー』など、介護される人も介護する人も双方の負担を軽減することができる商品もあるので、上手に利用するといいですよ」
自分でケアできる生理でも、ナプキンによる「かゆみ」「ムレ」などにひそかに悩んでいる女性はいます。まして、自分でケアできない場合はどれほどつらいか。お尻ケアも排泄トラブル同様、思いやりと適切な対処を心がけましょう。
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取材・文/岸田直子
梅林真紀(うめばやし・まき)さん
ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所 研究員。看護師。全国の施設・病院で排泄ケアの実態を調査しながら、紙パンツを使ったトイレ誘導・自立排泄支援の普及活動に携わる。元気なシニア向けの尿漏れ防止講座、紙パンツの使い方講座などの講師として全国を飛び回っている。