尿漏れや便漏れなどの排泄トラブル。歳だから仕方ない......と後回しにしがちですが、健康で快適な暮らしを送るには避けては通れない問題です。そこで、ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所の梅林真紀さんに現代の排泄事情からケア方法までを伺いました。
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上手な紙おむつの選び方・あて方
軽度の尿漏れなら、普通の下着+生理用ナプキンと同じ形状の軽い尿漏れ用パッドでケアできますが、バス旅行やドライブなど長時間トイレに行けない場合、それでは不安という人も。
「そんなときは、薄型の紙パンツタイプがおすすめです。下着感覚ではける薄型ながら2回分の尿をしっかり吸水するものや男性向けに前開き機能がついたものなど、いろいろなものがあるので状況や環境に合わせて使い分けるといいでしょう」と、梅林さん。
また、用途のほかに選び方で気をつけたいのがサイズです。サイズが合っていないと漏れの原因になるのはもちろん、サイズが大きくなるにつれ価格も上がるので家計に響くというリアルな現実も。
「紙パンツタイプは、ウエストを基準に選びましょう。紙パンツ専用の尿とりパッドとセットで使う場合も同じです」
〈紙パンツタイプの使い方〉
1. 前後の目安は「後処理テープ」。テープのあるほうが後ろです。きちんと確認したら、紙パンツをひざのあたりまで引き上げます。
2. 紙パンツ専用の尿とりパッドを組み合わせる場合は、パッドを紙パンツの中に差し込みます。パッドの前後についているワンタッチテープを紙パンツの内側につけます。
3. パッドが装着された紙パンツを引き上げます。
4. 使用後は紙パンツの両脇を下から破って外します。
5. 外した紙パンツは丸めて「後処理テープ」で止めましょう。衛生的にコンパクトに処理できます。
「テープ止めタイプは、ヒップサイズで選びましょう。痩せている人は、脚の付け根まわりに合わせて選ぶことをおすすめします」
紙パンツタイプもテープ止めタイプも、有効かつ経済的に使うには、パッド使いがポイント、と梅林さんは指摘します。
「微妙にサイズが合わない場合も、パッドを使うことで漏れを防げることがあります。何より、アウターとして使う紙パンツタイプやテープ止めタイプの交換回数と枚数が減るので、使用者の身体的、精神的な負担が軽減するのはもちろん、経済的にも助かります。実は紙パンツとパッドを組み合わせて活用するという発想は、日本独自のもの。これまで海外にはありませんでしたが、その簡便性と経済性が認められ、今ではISO(国際標準化機構)基準に制定されたほど。介護の現場では『オムツ使いはパッド使い』といわれています」
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取材・文/岸田直子 イラスト/さいとうあずみ
梅林真紀(うめばやし・まき)さん
ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所 研究員。看護師。全国の施設・病院で排泄ケアの実態を調査しながら、紙パンツを使ったトイレ誘導・自立排泄支援の普及活動に携わる。元気なシニア向けの尿漏れ防止講座、紙パンツの使い方講座などの講師として全国を飛び回っている。