薬以外の治療法も。知っておきたい不整脈の治療法/不整脈

pixta_33619177_S.jpg心臓は1日に10万回以上も収縮しています。その脈の乱れが「不整脈」です。
急に動いたときや、緊張、ストレスなどでドキドキするのは「怖くない不整脈」。安静時でもドキドキしたり、めまい、息切れ、動悸があるのは「怖い不整脈」かもしれません。
心臓と不整脈について、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授の澤芳樹先生に聞きました。

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早く検査、治療を始め心臓を守ろう

「怖い不整脈を見逃さないためには、自分で脈を測る習慣をつけてください」と澤先生。では、どんな点に注意したらよいのでしょうか。

心房細動が起きたときには、脈が弱い、不規則、速すぎて数えられない、などの異常が現れます。特に初期の心房細動には自覚症状が乏しいので、脈拍を測るのが有効です。心房細動が長く続くと、胸の痛み、息切れ、めまい、ふらつきなどが起こります。

病院の受診は、まず心電図検査から。ベッドに横になり手足と胸に電極を装着して、12カ所の心電図を記録します。
「持続性心房細動は心電図検査で発見できますが、一時的に起こる発作性心房細動は、1回の心電図検査では見つけ出しにくいので、24時間の心臓の動きを調べる『ホルター心電図検査』を行います」

この検査は、胸に電極を装着し携帯型の心電計を腰に付け、日常生活の中で長時間、心電図を記録します。他に、運動時の心臓の動きを診る「運動負荷心電図検査」を行う場合があります。室内で歩いたり、自転車をこぐ運動装置で運動負荷をかけながら心電図を記録する検査です。

このような検査で異常が見つかった場合、超音波で心臓での血液の流れを見る「心エコー検査」を行います。また電極の付いた細いカテーテルを太ももの静脈から挿入して心臓の内壁に接触させて、心臓内の電気活動を調べる「心臓電気生理(EPS)検査」もあります。
「糖尿病の影響で神経系の障害がある人は心臓の異常を自覚しにくいので、定期的に検査を。高血圧、虚血性心疾患、弁膜症などがある人も同様です

 

不整脈が見つかっても、慌てず騒がず治療を開始

不整脈の治療には、薬を使った「薬物治療」と、薬以外による「非薬物治療」があります。
薬物治療は主に頻脈に対して行なわれます。「β遮断薬」は、交感神経の興奮を抑制することで心拍数を減らし、心臓の働きすぎを抑えて心臓を頑張らせない薬です。「ナトリウムチャネル遮断薬」は、脈を起こす電気信号のナトリウムイオンの働きを抑さえ、「カルシウム拮抗薬」は、血管収縮に関係するカルシウムイオンの血管・心筋への流を抑制します。

このほかに、「ARB」は、血圧上昇を起こす「アンジオテンシンⅡ」の受容体を阻害し、カルシウムイオンの流入を抑制して、降圧作用を起こします。「ACE阻害薬」も、アンジオテンシンⅡを作る酵素の働きを抑えて降圧作用を起こすことで、心臓への負担を軽減します。血栓が発生するリスクが考えられる場合は、血小板の働きを抑える「抗血小板薬」や、血液が凝固する働きを抑える「抗凝固薬」などが処方されます。

薬物治療の効果には個人差がありますから、処方された薬を飲み続けたときの体調の変化や効果を主治医に報告し、めまい、むくみ、せきなどを我慢しないようにしましょう。

徐脈の場合は、心臓に人工ペースメーカーと電線を埋め込んで、電気刺激を送って徐脈を解消します。

頻脈の場合は、「高周波カテーテルアブレーション治療」や「ICD(植え込み型除細動器)」を胸や脇の下に植え込んで、リード線を通じて電気ショックを起こし治療を行います。

この他に、補助人工心臓や心臓移植などの方法もありますが、澤先生の研究チームではiPS細胞を用いた再生医療によって、多くの命を救うための研究を進めています。

 

 

これだけは知っておきたい、不整脈の治療いろいろ

【薬による治療(薬物治療)】
β遮断薬
ナトリウムチャンネル遮断薬
カルシウム拮抗薬
ARB
ACE阻害薬

心臓に直接的に働きかけて脈を整える薬と、血圧を安定させる降圧作用で心臓への負担を軽減する薬がありますが、どちらも頻脈の場合に用いられます。徐脈の場合は、薬物治の他にペースメーカーを用いた治療を行う場合が多いです。

 

【薬以外による治療(非薬物治療)】

頻脈に対する治療
心臓内で異常な電気信号を発生させる場所を見つけたら、カテーテルの先端から電気を流して焼く「高周波カテーテルアブレーション治療」があります。他に、自動的に電気ショックを与え心臓のリズムを取り戻させる「ICD(植え込み型除細動器)治療」があります。いずれもEPS検査と同時に行うことができます。

徐脈に対する治療
徐脈治療に用いられるのが、ペースメーカー治療で、人工ペースメーカーと電線を埋め込んで、心臓に電気刺激を送って徐脈を解消します。

 

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取材・文/宇山恵子

<教えてくれた人>
澤 芳樹(さわ・よしき)先生

大阪大学医学部卒、医学博士。大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授。iPS細胞を用いた心筋シートの開発など世界最先端の研究を推進している。

この記事は『毎日が発見』2018年5月号に掲載の情報です。

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