心臓は1日に10万回以上も収縮しています。その脈の乱れが「不整脈」です。
急に動いたときや、緊張、ストレスなどでドキドキするのは「怖くない不整脈」。安静時でもドキドキしたり、めまい、息切れ、動悸があるのは「怖い不整脈」かもしれません。
心臓と不整脈について、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授の澤芳樹先生に聞きました。
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女性ホルモンの低下で「いつの間にか不整脈」が発生
脈が速くなる頻脈、遅くなる徐脈、脈が飛ぶ期外収縮などはよく見られることですが、心電図の波形(グラフの折れ線)を専門の医師に診てもらうことで、心臓のどこに異常があるのか、それが危険なものなのかを診断できます。
「年齢とともに不整脈の人は増えます。中高年の女性に注意してほしいのは、めまい、息切れ、動悸などが、更年期障害によるものか、心臓病によるものかを判別することです」と澤先生はアドバイスします。
特に閉経後の女性は、女性ホルモンの低下により脂質異常症、高血圧などに注意が必要な上に、不整脈の発生が重なると、脳梗塞などを起こすリスクが高まります。
「不安や心配事などのストレスは、交感神経の働きを高めて、脈拍や血圧を上昇させます。この状態がいつまでも続くと、必要以上に働き続けている心臓が大きな負担を負うことになります」
~知っておきたい心臓の話~
今年2月、俳優・大杉漣さんが急性心不全により66歳で急逝。女優・白川由美さんも2016年に急性心不全により79歳で、同年、タレントの前田健さんは虚血性心不全で44歳の若さで亡くなりました。いずれも心臓の病気です。共通点は亡くなる直前まで元気だったこと。心臓はいつも健康と過信するのは誤りです!
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取材・文/宇山恵子 撮影(澤先生)/奥西淳二
澤 芳樹(さわ・よしき)先生
大阪大学医学部卒、医学博士。大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授。iPS細胞を用いた心筋シートの開発など世界最先端の研究を推進している。