ズキンズキンと脈打つような頭の痛みは「片頭痛」です/今すぐ治したい!頭痛(3)

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「片頭痛のある人は、日本では約840万人いると推計されています(Sakai F, Igarashi H. Cephalalgia. 1997)。男性よりも女性に多く、患者さんの中心は20~40歳代です。とはいえ、50~60歳代の女性でも、約10 人に1 人は片頭痛持ちと考えられています(Sakai F, Igarashi H. Cephalalgia. 1997)と話すのは、北里大学医学部客員教授、富士通クリニック頭痛外来の五十嵐久佳先生。

片頭痛が起こる仕組みは、まだはっきりとは分かっていません。片頭痛の特徴は、ズキンズキンと脈を打つような強い痛みで寝込んでしまうなど、日常生活に支障を来すことです。片側に頭痛が起こる人は約60%、両側に痛みが出る人は約40%とされています。一般的に痛みは数時間から2~3日程度続きます。頭痛が起こる頻度は、1カ月に1~3回程度の人もいれば、1週間に1~2回程度起こる人もいます。

頭痛に伴い吐き気や目の奥の痛みなどの症状が起こることもあります。また、頭痛が始まる前に稲妻のようなギザギザした光が視野の中央に現れる閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる前兆が起こる人もいます。片頭痛が起こる前には、光や音に敏感になる、生あくびが出る、おなかがすく、甘い物が食べたくなる、イライラする、手足がむくむ、肩こりや首の痛みが出るなどの予兆が現れることもあります。

原因
◎原因ははっきり分かっていない
◎ストレスも関係している

片頭痛を起こすきっかけ
● 睡眠不足、または寝過ぎ
● 空腹
● ストレスやストレスからの解放
● まぶしい光や鼻をつく強い臭い
● 人混みや騒音
● 天候や温度の変化、高い湿度
● アルコール
● 月経や排卵
● 出産後や更年期のホルモンの乱れ


自分の痛みの特徴を把握! 薬と頭痛ダイアリーで痛みに対処

「片頭痛を起こすきっかけには、女性ホルモンが関係している場合もあるので、一般的に閉経後は片頭痛の症状は軽くなる傾向があります。若い頃はひどい痛みに悩まされていたのが、50 歳を過ぎる頃から何となくダラダラと痛みが続くというパターンに変わることもあります。 痛みの程度にかかわらず、頭痛で日常生活に支障を来している人は、我慢せずにかかりつけ医や頭痛専門医を受診しましょう」(五十嵐先生)

医療機関で片頭痛と診断されたら、医師が処方する薬を使って痛みを緩和します。頭痛の回数が多い人などは、予防薬を用いることもあります。

片頭痛の予防に役立つのが「頭痛ダイアリー」です。記録することで、どんなときに頭痛が起こるか、何がきっかけになっているかなどを把握することができ、対処しやすくなります。また、医師に頭痛ダイアリーを見せると、診断や治療の助けにもなります。自分の頭痛を記録することを習慣化してみましょう。

「頭痛ダイアリー」の記入例

頭痛ダイアリーを記録することで、どんなときに頭痛が起こるかがわかる

天候の変化、人混み、強いストレスやストレスからの解放などがきっかけとなって、頭痛が起こることがわかります。

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62歳女性・主婦


頭痛の程度を3段階で記録
+++ 重度
++  中程度
+  軽度


日常生活への影響度を3段階で記録

+++ 何も手に付かず横にならなければならない。
++  家事や仕事などの能率が通常の半分以下である。
+  頭痛はあるが日常生活に大きな支障はない。

症状のマーク
脈 ・・・・・・ 脈打つ痛み
は ・・・・・・ 吐き気
重 ・・・・・・ 重い痛み  
吐 ・・・・・・ 嘔吐
薬 ・・・・・・ 薬が効いた 
薬 ・・・・・・ 薬が効かなかった

前の記事:「今すぐ治したい!頭痛(2)手軽にできる「頭痛体操」で頭痛のもとをスッキリ解消」はこちら。

  

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<教えてくれた人>
五十嵐久佳(いがらし・ひさか)先生
北里大学医学部客員教授、富士通クリニック頭痛外来。北里大学医学部卒業。専門は神経内科、特に頭痛の診断・治療。患者一人一人の症状に合った薬の使い方や対処法の指導に力を入れている。
 
この記事は『毎日が発見』2017年8月号に掲載の情報です。

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