60代の自律神経は20代の約2〜3割まで減っている/脳疲労

60代の自律神経は20代の約2〜3割まで減っている/脳疲労 pixta_21174914_S.jpg「なんだか疲れやすくなった」「年々体力が落ちていく」など、疲れやすさを自覚している方は多いと思います。ですが、そもそも疲れとは何でしょう?そこで、疲労研究家で、大阪市大学大学院疲労医学講座特任教授である梶本修身先生に、最新の疲労科学研究で分かった、疲労の正体とともに、疲労を改善する生活習慣について伺ってみました。


前の記事「「疲れた」の原因は、じつは自律神経中枢の疲労だった!/脳疲労(3)」はこちら。

 

疲れにくい体づくりには自律神経のバランスを整えるのが正解

自律神経は、交感神経と副交感神経という、二つの相反する働きをする神経によってコント ロールされています。一つ目の交感神経は、心身が活動的なとき、緊張・興奮状態のとき、ストレスがあるときなどに働きます。二つ目の副交感神経は、くつろいでリラックスしているときや、眠ったりするときなどに働きます。交感神経が優位に働き、アクティブに活動し
ている状態のときは、脳の自律神経中枢の細胞は緊張状態が持続します。

 
●自律神経の「交感神経」と「副交感神経」の働き

自律神経は、呼吸や心臓の動きをはじめ、私たちの生命活動に必要な全ての機能をコントロールしています。その代表的な働きは下記の通りです。

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一方、副交感神経が優位なときはリラックス状態で脳の神経細胞も活動性を抑えています。 つまり、交感神経が優位な状態が、自律神経中枢の細胞を疲弊させるのです。交感神経が優位な時間を減らし、副交感神経が優位な時間が多くなるよう自律神経のバランスを整えれば、疲労はコントロールできます。

「自律神経は老化が激しいんです。 20 代の頃から比べると、 60 代では約2~3割まで減ります」 と梶本先生。自律神経が働く過程で活性酸素が発生すると、自律神経の細胞が酸化してさびつき、自律神経の機能が低下します。この低下した状態が疲労で、さび切って元に戻らなくなった状態が老化です。  

 
●自律神経機能は、加齢とともに低下します

60代の自律神経は20代の約2〜3割まで減っている/脳疲労 1804p063_06.jpg提供元:東京疲労・睡眠クリニック

自律神経機能は、20代から年々低下し続け、復活はほぼ見込めません。加齢に伴い疲れやすくなるのは、ここに原因があるのです!

 
では、老化した自律神経の復活は可能でしょうか? 

「一度老化した自律神経はほぼ復活しません。しかし、良質な睡眠を取って疲労を解消することで、 同年代の人と同じ位までは機能を回復できます」(梶本先生)

疲労が慢性化すると老化や生活習慣病を招きます。日々の習慣を見直し、自律神経のバラン スを整えるよう心がけて、さびつかない体を手に入れましょう。

 
取材・文/笑(寳田真由美) 

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60代の自律神経は20代の約2〜3割まで減っている/脳疲労
<教えてくれた人>
梶本修身(かじもと・おさみ)先生

東京疲労・ 睡眠クリニック院長、医師・ 医学博士。大阪市立大学 大学院疲労医学講座特任教授。「産官学連携疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。著書の『すべての疲労は脳が原因』(集英社)は、 シリーズ累計18万部を超えるベストセラー。

 
この記事は『毎日が発見』2018年4月号に掲載の情報です。

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