急増する「スマホ老眼」。本物の老眼とはどう違うの!?/老眼

pixta_29315314_S.jpg年を重ねるにつれ、誰もが感じるのが視力の衰え。いわゆる「老眼」ですが、これは加齢によって目の中の奥の水晶体が老化することから発症するもので、45歳前後を迎えるころから、ならない人はいない症状です。その仕組みや最新の医療技術、また、老眼になってからの生活を少しでも快適に送る方法などを、みなとみらいアイクリニック主任執刀医でクイーンズアイクリニック院長の荒井宏幸先生にお聞きしました。

前の記事「初期の老眼対策には「モノビジョン」も有効/老眼(12)」はこちら。

 

スマホ老眼は自分で治せる症状です

最近、20~40代の人に爆発的に増えているのが「スマホ老眼」です。「老眼」という名前がついていますが、加齢によるものではなく、正しくは老眼に似た「老眼様症状」というものです。

スマートフォンやパソコンなどの画面を長時間見続けていると、目のピント調整を担う筋肉「毛様体筋(もうようたいきん)」が緊張し続けて、けいれんを起こしたり、凝り固まったりしてしまいます。

すると、画面から目を離して遠くを見ようとしても、毛様体筋が動かなくなってピントの調節ができなくなります。目を画面から離すとピンボケして見たいものが見えなくなってしまうので、「もう老眼になってしまったのかな?」と思うわけです。つまり、「使いすぎによる毛様体筋の疲労から起こるピント機能の調節障害」という症状です。

 


【スマホ老眼 チェックリスト】
 スマホを1日にのべ3時間以上操作している
2 スマホの操作直後、画面から目を離すと周囲の視界にピントが合わない
3 遠くを見ていた後に近くを見ると、ピントが合わない(目がかすむ)
 近くを見ていた後に遠くを見ると、ピントが合わない(目がかすむ)
 朝はよく見えていたスマホの画面が、夕方になると見えにくい
 以前は読めていたスマホの文字が最近読みづらい
 原因は不明だが、肩や首のこり、頭痛などが以前よりひどくなっている


上記のうち3つ以上当てはまれば、スマホ老眼の可能性が高いです。

本来の「老眼」との違いは、「老眼」は水晶体の老化(劣化)によるもので加齢現象の一つ、「スマホ老眼」は目の筋肉の緊張による一時的な障害です。両者の決定的な違いは、本物の老眼は自力では治すことができませんが、スマホ老眼は治すことができる、ということです。

スマホ老眼は、しばらくスマホを使うのをやめれば改善します。毛様体筋がひどく凝り固まってけいれんを起こしている状態であれば、眼科で緊張をとる目薬を点眼して治します。通常の緊張状態であれば、一晩眠れば治るはずですが、翌日もまた同じ生活をしていたらすぐに再発してしまうので、注意が必要です。

スマホ老眼は治すことができる症状ですが、体全体をむしばむリスクが大きく、実は本物の老眼より怖い存在ともいえます。

スマホやパソコンの画面が発するブルーライトは、人の目で見ることのできる光の中でも最も波長が短く、強いエネルギーを持っています。角膜や水晶体で吸収されず、網膜まで達して目や体に大きな負担をかけるとされています。眼精疲労を引き起こすことはもちろん、ブルーライトは「脳が日中だと認識する光」なので、睡眠のリズムも乱してしまいます。睡眠の質が低下したり、知らないうちに心身の不調につながったりすることもあるのです。

 

次の記事「スマホの使い方を改善! 少しの工夫でスマホ老眼は治ります/老眼(14)」はこちら。

取材・文/岡田知子(BLOOM)

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<教えてくれた人>
荒井宏幸(あらい・ひろゆき)先生

みなとみらいアイクリニック主任執刀医、クイーンズアイクリニック院長、防衛医科大学校非常勤講師。1990年、防衛医科大学校卒業。近視矯正手術、白内障手術を中心に眼科手術医療を専門とする。米国でレーシック手術を学び、国内に導入した実績から、現在は眼科医に対する手術指導、講演も行っている。著書に『「よく見える目」をあきらめない 遠視・近視・白内障の最新医療』(講談社)、『目は治ります。』『老眼は治ります。』(共にバジリコ)ほか。

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