友達が肥満だと自分も肥満になりやすい/鎌田實「だまされない」

pixta_37059169_S.jpgテレビやネットにあふれるあやしげな健康情報や社会の思い込み。あなたはいつのまにか信じてしまっていませんか?

だまされないでください。
医師にして作家である鎌田實が50年近く医療に携わることで気づいた、健康のための王道をまとめた書籍『だまされない』で、「健康で幸せに生きるという目標」を達成するための技術を身に付けましょう。

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友達が肥満だと自分も肥満になりやすい

米国のコロラド大学がおもしろい研究論文を発表しています。夫婦のどちらかが肥満になると、そのパートナーも肥満になる確率が37%になるというのです。肥満には環境因子が影響していることを示唆しています。

同論文では、きょうだいの誰かが肥満だと40%の発生率で、ほかのきょうだいも肥満になるとしています。肥満は環境だけでなく、遺伝という要素も加わっていることを示唆しています。肥満は環境と遺伝の両方がそれなりに影響していると考えざるをえないということです。

肥満になりやすい遺伝子をいまさらいじることはできませんが、環境を変えることはできます。また、たとえ肥満になりやすい遺伝子があったとしても、その遺伝子が働くか働かないかは、生活の仕方が関係している可能性があるのです。詳しくは後述しますが、遺伝子が働かなくなる〈メチル化〉がなされていれば、肥満になりやすい遺伝子があっても、それが働かない可能性があるのです。

それはさておき、この大学の論文にはさらに驚かされます。
なんと、仲のいい友達が肥満だと、57%の確率で自分も肥満になるというのです。驚きのデータです。考えてみるに、仲のいい友達がたくさん食べる人だと、つられて自分もたくさん食べたくなるのかもしれません。

たとえばタレントの渡辺直美さんやホンジャマカの石塚英彦さんと友達だったとしましょう。この人たちと一緒に食事をしていたら、「なんだか食べている姿が幸せそうだな」とか、「丸々して可愛らしいなあ」など、たくさん食べることや太っていることをマイナスではなくプラスに感じるようになり、「自分も太ってもいいか、食べちゃえ」と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。

肥満するかどうかは、環境の要素が一番大きく、遺伝の要素もありますが、心持ちをどう持つかというのも、かなり大きい因子になるということです。肥満は遺伝もありますが、それがすべてだと思い込んではいけません。家族や友達などの関係のなかで、自分の心がいかに太らないように持ちこたえられるか、それが大事な要素であることを忘れないようにしたいものです。

 

がん遺伝子があっても大丈夫

谷口先生の話によると、遺伝子検査でがん遺伝子が見つかっても、すぐにがんになるとは限らないとのこと。過度のストレス、過食、喫煙、運動不足などの悪習が、がん遺伝子を目覚めさせるとともに、がん遺伝子を抑えつける働きを持つ遺伝子を衰えさせてしまうと、がんの危険が高まるのだそうです。

つまり、がん遺伝子があるからといって、すぐがんになるわけではありません。がん遺伝子が〈メチル化〉されていれば遺伝子は働かない、つまりがんにならないのです。

先ほどからお話ししているメチル化とは、遺伝子情報を持ったDNAが働かないようにコントロールされている状態を言います。若いときにはメチル化がしっかりできているためがんになりにくいですが、年をとるとともにメチル化する力が弱くなり、がんになりやすくなるのです。がん遺伝子だけではなく、肥満遺伝子もメチル化がなされていれば遺伝子は働かないため、簡単には肥満になりません。糖尿病も同様です。

 

遺伝子の暴走は防げる

このように大事なメチル化ですが、慢性炎症がメチル化力の減衰と関係しています。慢性炎症を促進する〈ASC〉という遺伝子がありますが、この遺伝子がメチル化されていれば炎症が起こりにくくなります。ところがメチル化されなくなると、慢性炎症が促進され、がん遺伝子も作動しやすくなるのです。メチル化がいかに大切か、おわかりいただけたかと思います。

ではメチル化する力を強化するにはどうすればいいのでしょうか。
谷口先生は同じ大学の能勢博教授が推進している〈インターバル速歩〉をすすめています。能勢先生とも直接お会いして話を聞きました。大賛成です。それからは、なんとなく歩くだけだった「歩け歩け運動」にも、インターバル速歩を取り入れるようにしました。やり方は簡単、早歩きとゆっくり歩くことを3分間ずつ交互に行うだけです。

僕は僕でスクワットと「早遅(はやおそ)歩き」をすることにしています。遺伝子検査をしてもしなくても、この2つの運動はとても大事と考えています。がんにならないためにも、よく運動をして、慢性炎症を起こさないことが重要です。

動脈硬化も最近は慢性炎症が原因だと言われています。また、脳の細胞に慢性炎症が起きた結果としてアルツハイマー病が起きるのではないかとも言われています。メタボや糖尿病になると慢性炎症を起こしやすくなるため、アルツハイマー病になるリスクも高まります。

要は、がん遺伝子も炎症を起こすASC遺伝子も、メチル化しておけば、がんにも慢性炎症にもなりにくくなる、というわけです

 

※『毎日が発見』本誌に連載した記事はこちら

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鎌田 實(かまた・みのる)さん
鎌田 實(かまた・みのる)

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県茅野市の諏訪中央病院医師として、患者の心のケアまで含めた地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。1988年に同病院院長に、2005年から名誉院長に就任。また1991年からチェルノブイリ事故被災者の救援活動を開始し、2004年からはイラクへの医療支援も開始。4つの小児病院へ毎月400万円分の薬を送り続けている。著書に『がんばらない』『あきらめない』『なげださない』ほか多数。

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『だまされない』
(鎌田 實/KADOKAWA)

社会は人をだます。人も自分をだます。実は自分の身体すらも自分をだましにかかってくる。そんな環境に生きながらも、幸せに生きるためにはなにを知るべきか、どうすべきか、どう考えるべきか。医師にして作家である鎌田實が、その答えに迫ります。健康問題から社会問題まで、翻弄される人々の目覚めを促す言葉の劇薬!

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この記事は書籍『だまされない』からの抜粋です

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